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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
尾行
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抜き取った片手剣を掌で器用に回しながら答える。

「ここは道幅が狭いが、思う存分に戦うには2人のほうがいい」

リーファは改めて2人が携える諸刃(もろは)の剣を見やった。確かに狭い橋の上で、味方を気遣いながら戦うのは面倒だろう。特にキリトの持つ大剣は振り回すにはは至難と言える。ヒール役は性分ではなかったが、リーファはコクリと頷き、軽く地面を蹴って橋を遮る岩壁ギリギリの場所まで退いた。どちらにせよ議論している時間はもうない。

キリトとネザーは腰を落とすと体を捻り、巨剣を体の後ろ一杯に引き絞った。津波のような重圧で3人のサラマンダーが迫る。2人の大きいとは言えない体が、ギリギリと音がしそうなほどに捻転(ねんてん)していく。蓄積されたエネルギーの揺らぎが眼に見えるようだ。両者の距離は見る見る内に縮まり__

「__せいっ!!」

「__はぁっ!!」

気合一閃、2人は左足をずしんと一歩踏み出すと、青いアタックエフェクト光に包まれた剣を、深紅の重戦士達に向かって横薙ぎに叩きつけた。空気を断ち割る唸り、橋を揺るがす振動、間違いなくかつてリーファが見た中で最大級の威力を秘めた斬撃だった。

__だが。

「えっ……?」

リーファは唖然として眼を見開いた。3人のサラマンダーは武器を振りかぶることもせず、ギュッと密集すると右手の盾を前面に突き出し、その陰に体を隠したのだ。

ガァーン!!という大音響を轟かせ、ネザーとキリトの剣が並んだタワーシールドの表面を一文字に()いだ。ビリビリと空気が震え、湖面に大きな波紋が広がった。しかし重戦士達は、わずかに後方に押し動かさただけで2人の攻撃を耐え切った。

リーファは慌ててサラマンダー達のHPバーを確認した。揃って1割以上現象している。だがそれも束の間、次の瞬間戦士達の後方から立て続けにスペル詠唱音が響き、3人の前衛の体を水色の光が包んだ。ヒールの重唱(じゅうしょう)でHPバーが瞬時にフル回転する。そして、直後__。

鋼鉄の城壁にも似た大型シールドの後背から、オレンジ色に光る火球が次々に発射され、大空洞の天井一杯に無数の孤を引いて降り注ぎ、2人の立つ場所に炸裂した。

湖面を真っ赤に染めるほどの爆発が巻き起こり、小さな黒衣と紫衣の姿を飲み込んだ。

「キリト君!!ネザーさん!!」

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