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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
尾行
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ために、今回のアルン行きも北回りルートを取ろうかと考えたが、キリトとネザーが急ぐ様子だったので山越えを選んだ。地下深く潜るのは正直不安もあったが、この調子ならさして問題なく突破できるだろう。

__そう言えば、2人がなぜそれほどアルン、いや世界樹へと急ぐのか、その理由も謎のままだ。飄々(ひょうひょう)とした態度からは中々内心が(うかが)い知れないが、戦闘の様子を見るとどうやらかなり気が急いでいるようでもある。

確か人を探している、と言っていた。リアルで連絡が取れない相手をゲーム内部で探すというのは、それほど珍しい話でもない。雑貨屋の店先にあるう掲示板の訪ね人コーナーには、常に《探しています》の書き込みが後を絶たない。大概その理由は恨みつらみか色恋沙汰のどちらかだが、リーファが思うに、このどちらもネザーとキリトには似合わない気がした。それに__アルンで探す、ならわかるがなぜ世界樹なのか。あそこには今のところ不可侵領域であり、例え根元まで辿り着けても、上部に登ることは不可能だ……。

スペルワードに悪戦苦闘し続けるキリトと、スペルをほぼ完璧にマスターしたネザーの傍らを歩きながら、リーファはぼんやりと取り留めのない思考に身を任せていた。普段なら中立地帯で物思いに耽るなど自殺行為だが、この旅に限ってはユイが恐るべき精度でモンスターの接近を予告してくれるため不意打ちの心配はない。

更に数分が経過し、いよいよ地底湖が間近に迫りつつあったその時、リーファの意識を呼び覚ましたのはユイの警告ではなく、ルルルという電話の呼び出し音にも似たサウンドエフェクトだった。

リーファはハッと顔を上げ、キリトとネザーに声をかけた。

「あ、メッセージ入った。ごめん、ちょっと待って」

「ああ」

「急げよ」

立ち止まり、体の前方、胸より少し低い位置に表示されたアイコンを指先で押す。瞬時にウィンドウが展開し、着信したフレンドメッセージが表示された。と言ってもリーファがフレンド登録しているのは、不本意ながらレコンただ1人なので、差出人は読む前からわかっていた。どうせまた益体(やくたい)もない内容だろうと思いながら眼を走らせる。だが__

【やっぱり思ったとおりだった!気をつけて、s】

書かれていたのはこれだけだった。

「なんだこりゃ?」

思わず呟く。まったく意味を成していない。何が思ったとおりなのか、何に気をつけろというのか、そもそも文末の《s》というのは何なのだ。署名ならばRのはずだし、文章を書きかけて送信したのだろうか?

「エス……さ……し……す……うーん?」

「どうした?」

不思議そうな顔のキリトに、内容を説明しようとした、その時だった。彼の胸ポケットからぴょこんとユイが顔を出した。

「パパ、接近
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