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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
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のではなく、対象に暗視能力を付与する魔法らしい。
「わあ、これは便利ね。スプリガンも捨てたもんじゃないわね」
「あ、その言われ方なんか傷つく」
「うふふ。嫌でも実際、使える魔法くらい暗記しておいたほうがいいわよ。いくらスプリガンのしょぼい魔法でも、それが生死を分ける状況だってひょっとするとないとも限らないし」
「うわ、更に傷つく!」
軽口を叩きながら、曲がりくねった洞窟を下っていく。いつの間にか、入り口の白い光はすっかり見えなくなっていた。
「うええーと……アール・デナ・レ……レイ……」
キリトは、紫に発光するリファレンスマニュアルを覗き込み、覚束ない口調でスペルワードをブツブツと呟いた。
「ダメダメ、そんなにつっかえたらちゃんと発動できないわよ」
「スペル全体を暗記するより、それぞれのスペルの意味を覚えて、魔法の効果と関連付けるように記憶したほうがいい」
ネザーが言うと、黒衣の剣士は深いため息と共にガックリと項垂れる。
「まさかゲームの中で英熟語の勉強みたいな真似することになるとは思わなかったなぁ……」
「言っときますけど、上級スペルなんて20ワードくらいあるんだからね」
「うへぇ……。俺もうピュアファイターでいいよ……」
「泣き言は言わない!ほら、最初からもう1回」
__洞窟に入ってすでに2時間が経過していた。10回を越えるオーク相手の戦闘も難なく切り抜け、スイルベーンで仕入れておいたマップのおかげで道に迷うこともなく、順調に
路程
(
ろてい
)
を消化している。マップによればこの先には広大な地底湖に架かる橋があり、それを渡ればいよいよ地底鉱山都市ルグルーに到着することになる。
ルグルーは、ノーム領の首都たる大地要塞ほどではないが良質の鉱石を産し、商人や鍛冶屋プレイヤーが多く暮らしているということだったが、ここまでの行程で他のプレイヤーと出会うことはなかった。この洞窟は、狩場としてはそれほど実入りのいい場所ではないし、何より飛行が身上のシルフ故、飛べない場所は敬遠する者が多いのだろう。洞窟内も幅も高さも充分あるのだが、飛翔力の源たる日光も月光も届かないため、翅が一切回復しないのだ。
シルフのプレイヤーで交易や観光のためにアルンを目指す者は、所要時間は大幅に増えてしまうが、シルフ領の北にあるケットシー領を経由して山脈を迂回する場合が多い。猫に似た耳と尻尾を持つ種族ケットシーはモンスターや動物を飼い馴らすスキル《テイミング》が得意で、テイムした
騎乗
(
きじょう
)
動物を昔からシルフ領に提供してきた縁があるため、シルフとは伝統的に仲がいい。領主同士の関係も良好で、近い内に正式に同盟を結ぶという噂もある。
リーファにも親しいケットシーの友人が何人かいる
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