暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
尾行
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した空間を溶かすように、リーファはスタスタと洞窟の中へと歩き出した。

洞窟の中はひんやりと涼しく、外から差し込む光もすぐに薄れて、周囲を暗闇が覆い始めた。魔法で明かりを(とも)そうと手を上げてから、ふと思いついてネザーとキリトを見る。

「そういえば、2人は魔法スキル上げてる?」

「あ__、まあ、種族の初期設定だけなら……。使ったことはあんまりないんだけど……」

「洞窟はスプリガンの得意分野だ。明かりを灯す術も使えるはずだ。スペルワードさえ覚えていればな……」

俺はこの妖精世界のことを知ってから事前に下調べをした。

魔法はALO内で使用できるシステムの一種。魔法を使用する際は実際に口で《呪文(スペル)》を詠唱する必要がある。このスペルは決まっており、当然暗記しておく必要性が出てくる。ただし魔法名は決まっているわけでもないため、スペルだけ暗記しておけば問題はない。

難解な大規模魔法となるとスペルも驚くほど長くなる。 システムが認識できるよう、一定以上の声量と明確な発音を必要とし、もし途中でスペルを間違えれば失敗(ファンブル)となり、また初めから詠唱しなければならない。また、魔力(マナ)が足りない場合もファンブルする。

例えばサラマンダーの攻撃火炎魔法やウンディーネの回復魔法、隠行魔法や看破魔法等の支援魔法など、多岐に渡る種別がある。 種族によって魔法の得意分野が設定されているが、例外もある。闇魔法を得意とするインプでも、他の属性魔法を1つや2つを習得することは不可能ではない。初めてスイルベーンを訪れた時、リーファが1回の魔法でキリトをHPを全回復する回復魔法を使用したのがその証拠だ。

「ネザーさん、随分と詳しいんですね。とても初心者とは思えないんですけど……」

疑いの眼差しが俺に向けられたが、リーファと眼を合わせないまま通り過ぎ去る風の如く受け流す。それを見たリーファは少々呆れたようにため息をついたが、時間を無駄にしたくないと話を本題に戻すことにした。

「まあ、いいわ。それはそうと……さっきネザーさんが言った通り、洞窟とかはスプリガンの得意分野だから、明かりの術も風魔法よりはいいのがあるはずなのよ」

「えーと、ユイ、わかるか?」

頭を掻きながらキリトが言うと、胸ポケットから頭だけ出したユイがどこか教師然とした口調で言った。

「もう、パパ、マニュアルくらい見ておいたほうがいいですよ。明かりの魔法はですね……」

ユイが一音ずつ区切るように発声したスペルワードを、キリトは右手を掲げながら覚束(おぼつか)ない調子で繰り返した。すると、その手から仄白(ほのじろ)い光の波動が広がり、それがリーファとネザーの体を包んだ途端、スッと視線が明るくなった。どうやら光源を発生させて周囲を照らす
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