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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
アルンへの旅路
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音と共に剣を鞘に落とし込み、宙をフワフワと近づいてきたキリトに向かってリーファは右手を上げた。

「お疲れ!」

「援護サンキュー」

バシンと掌を打ち付け合って、笑みを交わす。

「………」

ネザーは相変わらずの無愛想。援護どころか手を動かす素振りも見せなかった。

「しっかしまぁ……何て言うか、無茶苦茶な戦い方ねぇ」

ネザーの態度など気にせずリーファが言うと、キリトは頭を掻いた。

「そ、そうかな?」

「普通はもっと、回避を意識してヒットアンドアウェイを繰り返すもんだけどね。キミのはヒットアンドヒットだよ」

「その分速く片付いていいじゃないか」

「今みたいな一種構成のモンスターならそれでもいいけどね。接近型と遠距離型の混成とか、もしプレイヤーのパーティーと戦闘になった時は、どうしても魔法で狙い撃たれるから気をつけないとダメだよ」

「魔法ってのは回避できないのか?」

「遠距離攻撃魔法には何種類かあって、威力重視で直線軌道の奴は、方向さえ読めれば避けられるけど、ホーミング性能のいい魔法や範囲攻撃魔法は無理ね。それ系の魔法を使うメイジがいる場合は常に高速移動しながら交錯(こうさく)タイミングを計る必要があるわ」

「ふむぅ……。今までいたゲームには魔法ってなかったからなぁ……。覚えることが沢山ありそうだな」

キリトは難解な問題集を与えられた子供のような顔で頭を掻いた。

「まぁ、ネザーさんはすでにコツを掴んだみたいだから、キミもすぐに掴まないとね。現実でスポーツをするようなものだよ」

「いや……スポーツとは、違うと思うけど……」

「いいから先を急ぐぞ」

イラついたようにネザーが口を挟んできた。

「おう」

「はーい」

2人が返事をした後、全員翅を鳴らして移動を再開した。傾き始めた太陽に照らされて金緑色に輝く草原が、森の彼方に姿を現しつつあった。





その後はモンスターに出会うこともなく、3人はついに古森を脱して山岳地帯へ入った。ちょうど飛翔力が限界に来たので、山の裾野(すその)を形成する草原の端に降下する。

靴底を草に滑らせながら着地したリーファは、両腕を上げて大きく伸びをした。生身の体にはない器官なのに、長時間の飛行をすると不思議に翅の根元が疲労するような感覚に襲われる。数秒遅れて着陸したネザーとキリトも同じように腰に手を当てて背筋を伸ばしている。

「ふふ、疲れた?」

「いや、まだまだ!」

「問題ない」

2人の余裕にリーファは少々驚いた。

「お、頑張るわね。……と言いたいとこだけど、空の旅はしばらくお預けよ」

リーファの言葉に、キリトとネザーは眉を上げた。

「見えるでしょ、あの山」
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