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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
脱領
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はな。いかにもインプやスプリガンのやりそうなことだ。のこのこと他種族の領地まで入ってくるからには斬られても文句は言わんだろうな……?」

「どうかな?こいつはともかく、俺はタダじゃ斬られねぇぜ」

芝居がかったシグルドの台詞に対抗しようとネザーは口を動かし、キリトは肩を竦めるだけの動作で応じた。

そのクソ度胸に半ば呆れつつも、リーファは本当に戦闘になったらシグルドに斬りかかる覚悟で腰の長刀に手を添えた。緊迫した空気が周囲に満ちた。

と、その時、シグルドの背後にいた彼の仲間が小声で囁いた。

「今はやばいっすよ、シグさん。こんな人目があるとこで無抵抗の相手をキルしたら……」

周囲にはいつの間にか、トラブルの気配に引かれたように見物人の輪ができていた。正当なデュエルだったり、相手が明らかなスパイだったりするならともかく、この場では攻撃権を持たない観光者然としたネザーとキリトをシグルドが一方的に攻撃するのは確かに見栄えのいい行為ではない。

シグルドは歯?みしながらしばらく2人を睨んでいたが、やがて剣を鞘に収めた。

「せいぜい外では逃げ隠れることだな。__リーファ」

ネザーとキリトに捨て台詞を浴びせておいてから、背後のリーファも視線を向けてくる。

「……今俺を裏切れば、近い内に必ず後悔することになるぞ」

「留まって後悔するよりずっとマシだわ」

「戻りたくなった時のために、泣いて土下座する練習をしておくんだな」

それだけ言い放つと、シグルドは身を翻し、塔の出口へと歩き始めた。付き従うパーティーメンバー2人は、何か言いたそうにしばらくリーファの顔を見ていたが、やがて諦めたようにシグルドを追って走り去って行った。

彼らの姿が消えると、リーファは大きく息を吐き出し、2人の顔を見た。

「……なんか、ごめんね。妙なことに巻き込んじゃって……」

「いや、俺達も火に油を注ぐような真似しちゃって……」

「俺も別に気にしてないが、あれでよかったのか?領地を捨てるって……」

「あー……」

リーファはどう言ったものか迷った挙句、無言で2人の背を押して歩き始めた。野次馬の輪をすり抜けて、ちょうど降りてきたエレベーターに飛び乗る。最上階のボタンを押すと、半透明のガラスでできたチューブの底を作る円盤状の石がぼんやりと緑色に光り始め、すぐに勢いよく上昇を開始した。

数十秒後、エレベーターが停止すると壁面のガラスが音もなく開いた。白い朝日と心地よい風が同時に流れ込んでくる。

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