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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
脱領
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シグルドはシルフ最強剣士の座をいつもリーファと争う(ごう)の者で、また同時に、主流派閥に関わるのを忌避(きひ)しているリーファと違って政治的にも実力者だ。現在の《シルフ領主》__月1回の投票で決定され、税率(ぜつりつ)やその使い道を決める指導者プレイヤーはサクヤだが、シグルドは彼女の側近としても名を()せる、言わば超アクティブ・プレイヤーである。

その恐るべきプレイ時間に裏打ちされた各種スキル数値とレア装備はとてもリーファの及ぶところではなく、シグルドの1対1デュエルはいつも、運動性に優するリーファがいかにして彼の頑強な防御を打ち砕くかというしんどい戦いになる。それだけに、狩りではフォワードとして実に頼もしい存在感を発揮するのだが、反面その言動はやや独善的で、束縛(そくばく)を嫌うリーファを辟易(へきえき)とさせる局面も少なからずあった。今のパーティーでの稼ぎは確かにかなりの効率なのだが、そろそろ抜ける潮時かな、と最近は考えないでもない。

そして今、リーファの前にずしりと両足を広げて立つシグルドの口元は、彼が最大限の傲慢さを発揮させる時特有の角度できつく結ばれていた。これは面倒なことになりそうだ__と思いながら、リーファは口を開いた。

「こんにちわ、シグルド」

笑みを浮かべながら挨拶したものの、シグルドはそれに応える心境ではないらしく、唸り声を交えながらいきなり切り出した。

「パーティーから抜ける気なのか、リーファ?」

どうやら相当に期限が悪いらしいシグルドを、ちょっとアルンまで往復するだけ、と言って(なだ)めようと一瞬考えたが、なんだか急に色々なことが面倒になってしまって、気づくとリーファはこくりと頷いていた。

「うん……まぁね。貯金もだいぶできたし、しばらくのんびりしようと思って」

「勝手だな。残りのメンバーに迷惑がかかるとは思わないのか」

「ちょ……勝手……!?」

これにはリーファも少々かちんと来た。前々回ののデュエルイベントで、激戦の末シグルドを下したリーファを試合後にスカウトに来たのは彼自身である。その時リーファが出した条件は、パーティー行動に参加するのは都合のつく時だけ、抜けたくなったらいつでも抜けられる、という2つで、つまり束縛されるのは御免だとしっかり伝えてあったつもりなのだが__。

シグルドはくっきりと太い眉を吊り上げながら、なおも言葉を続けた。

「お前は俺のパーティーメンバーとしてすでに名が通っている。そのお前が理由もなく抜けて他のパーティーに入ったりすれば、こちらの顔に泥を塗られることになる」

「………」

シグルドの大仰(おおぎょう)な台詞に、リーファはしばし言葉を失って立ち尽くした。唖然としつつも、やっぱり__という思いが心中に去来(きょ
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