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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
脱領
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「リンク・スタート!」

接続ステージを経て、妖精剣士リーファへと意識を移してパチリと瞼を開けると、すずらん亭1階の風景が色鮮やかに広がった。

テーブルの、向かいの席にはもちろん誰もいない。待ち合わせまではまだ数十分の余裕がある。それまでに旅の準備を整えなければならない。

店から出ると、スイルベーンの街は美しい朝焼けの空に覆われていた。

毎日決まった時間にしかログインできないプレイヤーのための配慮が、アルヴヘイムでは約16時間で1日が経過する。そのため、現実の朝晩と一致することもあればこのようにまったくずれることもある。メニューウィンドウの時刻表示は、現実時間とアルヴヘイム時間が併記(へいき)されており、最初は多少混乱したが、今ではこのシステムが気に入っている。

あちこちの店をバタバタと駆け回り、買い物を済ませると、ちょうどいい時間になっていた。宿屋に戻ってスイングドアを押し開けると、奥のテーブルにはすでに紫衣(しい)の姿が席に腰をかけており、続いて黒衣の姿が実体化しようとしていた。

ログインを完了したキリトは、数回瞬きをしてから、すぐ側にいたネザーと近づくリーファを認めて微笑んだ。

「よぉ、速いね」

「ううん、さっき来たとこだから」

「俺は15分前からここに座ってたけどな」

「そうか。それじゃ、アルンに出かける前に色々と準備しないとな」

リーファは、2人の簡素な初期武装に視線を落とす。

「確かに、2人には色々と準備が必要だね。お金、持ってる?」

「えーと……」

キリトとネザーは左手を振ってウィンドウを出し、チラリと眺めて、なぜか顔を引き攣らせた。

「……この《ユルド》っていう単語がそう?」

「そうだよ。ない?」

「い、いや、結構ある」

「……俺も」

「なら、早速武器屋に行こっか」

「う、うん」

妙に慌てた様子で立ち上がったキリトは、何かを思いついたように体のあちこちを見回し、最後に胸ポケットを覗き込んだ。

「……おい、行くぞ、ユイ」

するとポケットから黒髪のピクシーがちょこんと眠そうな顔を出し、大きなあくびをした。

リーファ行きつけの武具店でネザーとキリトの装備一式をあつらえ終わった頃には、街はすっかり朝の光に包まれていた。

と言っても、特に防具類に()ったわけではない。キリトは防御属性強化されている服の上下にロングコートだけ。

ネザーは防御よりもスピード強化を重視し、インナーの上に紫色の胴着(どうぎ)を身に纏い、防具として両腕に金属の籠手を装着した。黒布をパレオのように腰に巻き付け、おまけとしてフードが付いた短めの黒いマフラーを被る。

2人の衣装選びにはそれほど時間はかか
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