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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
脱領
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いち)は情けない顔をしながら肩を落とす。

「……ていうか、そもそも推薦組のあんたが何で学校にいるのよ?」

「あ、すぐ……桐ヶ谷さんに話があって、朝から待ってたんだ」

「げげ!暇な奴……」

直葉は再び数歩後退し、背の高い花壇の(ふち)に腰を下ろした。

「で、話って?」

長田は微妙な距離を保って直葉の隣に座ると、言った。

「……シグルド達が、今日の午後からまた狩りに行こうって。今度は海底洞窟にしようってさ、あそこはサラマンダーがあんまり出ないし」

「狩りの話はメールでいいって言ったじゃない。……悪いけど、あたししばらく参加できないわ」

「え、ええ!?なんで!?」

「ちょっとアルンまで出かけることに……」

アルヴヘイムの中央にそびえる世界樹、その根元には大きな中立都市が広がっている。それが央都アルンだ。スイルベーンからはかなりの距離がある上に、途中に飛行不可能な区域も多く、辿り着くには数日を要する。

長田はしばらく口をガクーンと開けて硬直していたが、やがてズリズリと直葉ににじり寄りながら言った。

「ま、まさか、昨日のスプリガンとインプと一緒に……?」

「あー、うん、まあね。道案内することになったの」

「な、何考えてんのさリー……直ぐ……桐ヶ谷さん!あんな怪しい男2人と、と、泊りがけで……」

「あんたこそ何赤くなってるのよ!妙な勘違いしないでよね!」

すぐそばまで接近してきた長田の胸を竹刀ケースでどつく。長田は極限まで眉に八の字を描かせ、直葉を恨みがましい眼で見つめた。

「……前に僕がアルンまで行こうって言った時はあっさり断ったくせに……」

「あんたと一緒じゃ何回全滅するかわかったもんじゃないでしょ!……ともかくそういうわけだから、シグルド達にはよろしく言っといてね」

直葉はぴょんと立ち上がり、「じゃあ!」と手を振って自転車置き場を目指して走り出した。長田の、叱られた犬のような情けない顔がちくりと胸を刺すが、そうでなくても学校では色々と噂されているのだ。これ以上距離を縮める気にはならない。

……道案内するだけ。それだけよ。

自分にも言い聞かせるように、胸の中で呟く。あの2人__特にキリトという少年の謎めいた黒い瞳を思い出すと、妙にソワソワと落ち着かない気分になる。

広大な駐輪場の片隅に停めてある自転車のロックを素早く外す。えいやっとまたがる、立ち()ぎで猛然(もうぜん)とダッシュ。冬の冷たい空気がピリピリと頬を叩くが、気にせず裏門から飛び出して、急な下り坂をノーブレーキで駆け下りていく。

速く飛びたい、と直葉は思った。キリトと並んで、全開パラレル飛行をすることを考えると、少しだけワクワクした。







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