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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
スイルベーン
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トさせ、
累積
(
るいせき
)
したダメージの総量で決着がつくことになる。しかし直葉の場合、鍛え上げた反射速度と勘によって容易く攻撃を避けることができたため、反則的なまでの強さを発揮するのはむしろ当然と言えた。
無論ALO以外のレベル制MMOであれば、ゲームに
費
(
つい
)
やせる絶対的な時間の少ない直葉はとてもコアなプレイヤーには
太刀
(
たち
)
打
(
う
)
ちできなかっただろう。事実リーファの数値的ステータスは、古参プレイヤーとしては平凡を下回る。それでもシルフ
五傑
(
ごけつ
)
と言われるほどの実力を維持できるのは完全スキル制のゲームであればこそだ。
そして、直葉がALOに魅せられた2つ目の理由__、それは無論あのゲームだけが持つフライト・システムである。
初めて
随意
(
ずいい
)
飛行のコツを会得し、空を思うままに飛び回った時の感動は未だ容易に思い出すことができる。
体の小さい直葉は、剣道の試合でもリーチ差に苦しめられることが多く、打ち込みをもっと速く、というのは遥か昔から体に染み付いた欲求だった。それゆえ、ALOにおいて愛用の長刀を大上段に構え__片手が塞がる補助飛行ではこれができない__超々ロングレンジからの突進を行うのは
筆舌
(
ひつぜつ
)
に尽くしがたい快感だった。無論それに留まらず、体がバラバラになりそうな
鋭角
(
えいかく
)
タイプや、あるいは鳥の群に混じってのんびりと高空をクルーズしたりと、飛翔行為そのものに直葉は深く魅せられてしまった。
飛ぶのが苦手なレコンあたりは直葉のことを《スピードホリック》などと言うが、直葉に言わせれば飛ばずしてALOの楽しみを語るなかれというところだ。
ともかく、それから1年が経ち、直葉はもういっぱしのVRMMOプレイヤーだと言っていい。最初は兄との距離を縮めるためにだけ訪れた仮想世界を、今の直葉は深く愛している。
直葉の元に帰ってきた和人に、ALOの話をしたい。やっと自分にもわかるようになった異世界での辛さや楽しさを共有したい__と日に何度も思う。しかし彼の瞳によぎる影を見ると、どうしても言葉を切り出すことができない。
SAO事件という、あれだけの凄まじい体験を経ても、和人の仮想世界への愛情が変わっていないのは確かだと思う。全て回収されたはずのナーブギアを、どんな手段を用いてか自室に持ち帰っていることや、フォトスタンドに挟んで
卓上
(
たくじょう
)
に飾られたSAOのROMカードがそれを示している。
だが、和人にとっては、多分まだSAO事件は終わってないのだ。《あの人》が眠りから目覚める、その時まで__。
そのことを考えると直葉の心は
千々
(
ちぢ
)
に乱れる。昨夜のような、深い絶望に囚われて泣く和人は二度と見たくない。いつも笑っていてほしい。そのためにも、あの人が速く目覚めてほしいと思う。
しかしそ
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