暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
スイルベーン
[7/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のやり方じゃあ世界樹攻略はできないっていう意見も多いわ」

「何かキークエストを見落としてるとか……」

「あるいは、単一の種族だけでは攻略できない……」

ババロアを口元に運ぼうとしていた手を止め、リーファは改めて2人の顔を見た。

「へぇ、いい勘してるじゃない。クエスト見落としのほうは、躍起(やっき)になって検証してるけどね。後の方だとすると……絶対に無理ね」

「なぜ?」

「だって矛盾してるもん。『最初に到達した種族しかクリアできない』クエストを、他の種族と協力して攻略しようなんて」

「……じゃあ、事実上世界樹の攻略は……不可能ってことか」

俺がそう言うと、うんとリーファは頷く。

「あたしはそう思うよ。そりゃ、クエストは他にもいっぱいあるし、生産スキル上げるとかの楽しみ方も色々あるけど……でも、諦めきれないよね。いったん飛ぶことの楽しさを知っちゃうとね……。例え何年かかっても、きっと……」

「それじゃ遅すぎるんだ!」

不意にキリトが押し殺した声で叫んだ。リーファがびっくりして視線を上げると、眉間(みけん)に深い谷が刻まれ、口元が震えるほど歯を食い縛ったキリトの顔がそこにあった。

「パパ……」

両手でチーズクッキーを抱えて端をかりかり(かじ)っていたピクシーが、クッキーを置いて飛び上がり、キリトの肩に座った。(なだ)めるように黒衣の少年の頬に小さな手を這わせる。やがて、キリトの体からふっと力が抜けた。

「……驚かせてごめん」

キリトが低い声で言った。

「でも俺……いや、俺達、どうしても世界樹の上に行かなきゃいけないんだ」

()ぎ上げた刃のように鋭い輝きを放つキリトの黒い瞳にまっすぐ見つめられ、リーファの心臓は不意にわけもなく早鐘のように鳴り響き始めた。動揺を静めようとワインを一口ごくりと飲んでから、どうにか口を開く。

「なんで、そこまで……?」

と訊かれ、少々戸惑うキリトに代わって俺が言った。

「俺達、ある人を探しているんだ」

「え、どういうこと?」

「……詳しくは言えない」

俺が言い終えた後、キリトはリーファを見てかすかに微笑んだ。だがその瞳は、深い絶望の色に染まっているように見えた。いつか、どこかで眼にしたことがある瞳だった。

「……ありがとうリーファ、色々教えてもらって助かったよ。ごちそうさま、ここで最初に会ったのが君でよかったよ」

立ち上がりかけたキリトの腕を、リーファは無意識のうちに掴んでいた。

「ちょ、ちょっと待ってよ。世界樹に……行く気なの?」

「ああ。この眼で確かめないと」

「……右に同じだ」

俺も無意識に言葉を発した。

「無茶だよ、そんな……。ものすごく遠いし、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ