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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
スイルベーン
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でも知り合いって言うか、学校の同級生なの。でもそれだけよ」
「へぇ……クラスメイトとVRMMOやってるのか、いいな」
どこかしみじみした口調で言うキリトに、軽く顔をしかめて見せる。
「うーん、いろいろ
弊害
(
へいがい
)
もあるよ。宿題のこと思い出しちゃったりね」
「ははは、なるほどね」
「そこまでにしろ」
これ以上は聞いておられず、俺が話に区切りをつけた。
会話を交わしながら裏通りを歩いていく。時折りすれ違うシルフのプレイヤーは、俺とキリトを見るとギョッとした表情を浮かべるが、隣で歩くリーファに気づくと
不審
(
ふしん
)
がりながらも何も言わずに去っていく。それほどアクティブに活動しているわけではないリーファだが、スイルベーンで定期的に行われる武闘大会イベントで何度か優勝しているので顔はそこそこ通っているのだ。
やがて、前方に小ぢんまりとした酒場兼宿屋が見えてくる。デザート類が充実しているのでリーファが
贔屓
(
ひいき
)
にしている《すずらん亭》という店だ。
スイングドアを押し開けて店内を見渡すと、プレイヤーの客は一組もいなかった。まだリアル時間では夕方になったばかりなので、冒険を終えて一杯やろうという人間が増えるにはしばらく時間がある。
奥まった窓際の席に3人が腰掛ける。
「さ、ここはあたしが持つから何でも自由に頼んでね」
「じゃあお言葉に甘えて……」
「あんまり食いすぎると、ログアウトしてから辛いと思うぞ」
メニューの魅力的なデザート類を睨みながら俺がしばし唸る。
実に不思議なのだが、アルヴヘイムで食事をすると仮想の満腹感が発生し、それは現実に戻ってからもしばらく消えることはない。カロリーの心配なしに甘い物が好き放題食べられるというのは、リーファにとってはVRMMO最大の魅力の1つなのだが、それで現実世界での食欲がなくなると母親にこっ
酷
(
ぴど
)
く怒られてしまうのだ。
実際このシステムをダイエットに利用したプレイヤーが栄養失調に陥ったり、あるいは生活の全てをゲームに捧げた一人暮らしのヘビープレイヤーが食事を忘れて
衰弱死
(
すいじゃくし
)
したりというニュースはいまやあまり珍しくない。
結局リーファはフルーツババロア、キリトは木の実のタルト、俺はビターチョコケーキ、少々驚いたがユイはチーズクッキーをオーダーし、飲み物は香草ワインのボトルを一本取ることにした。NPCのウェイトレスが即座に注文の品々をテーブルに並べる。
「それじゃあ、改めて、助けてくれてありがとね」
不思議な緑色のワインを注いだグラスをかちんと合わせ、リーファは冷たい液体を乾いた喉に一気に放り込んだ。同じく一息でグラスを干すと、キリトははにかむように笑ながら言った。
「いやまあ、成り行きだったし…
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