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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
風妖精との出会い
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抱くばかりだった。

一頻(ひとしき)りケラケラと笑うと、リーファは右手に下げたままだった長刀を腰の鞘に収め、言った。

「まあ、ともかくお礼を言うわ。助けてくれてありがとう。あたしはリーファっていうの」

「……俺はキリトだ。こいつはネザー。それでこの子はユイ」

スプリガンが手を開くと、頬を膨らませたピクシーが顔を出した。ペコリと頭を下げて飛び立ち、スプリガンの肩に座る。

リーファは、なんとなくこのキリトと名乗る少年ともう少し話をしたいと感じている自分に気づいて少々驚いた。人見知りとまでは言わないが、決してこの世界で友達を作るのが得意ではない自分にしては珍しいことだった。傍らのネザーという少年はともかく、キリトは悪い人ではなさそうだし、思い切って言ってみる。

「ねぇ、キミ達、この後どうするの?」

「や、特に予定はなんだけど……」

「そう。じゃあ、その……お礼に一杯おごるわ。どう?」

するとキリトは顔中でニコリと笑った。リーファは内心で、へえ、と思う。感情表現の大雑把(おおざっぱ)なVR世界で、ここまで自然に笑える人間はなかなかいない。笑うといえば、傍らの彼は笑顔どころか、いっさいの表情を見せない。ずっと無表情のままだった。

俺のことを半端(はんぱ)恐れてるような態度のリーファに、キリトは言った。

「それは嬉しいな。実はいろいろ教えてくれる人を探していたんだ」

「色々って……?」

「この世界の情報が欲しい。特に……」

キリトは視線を北東の方角に向けながら言う。

「……あの樹のことをな」

「世界樹?いいよ。あたしこう見えても結構古参なのよ。……じゃあ、ちょっと遠いけど北のほうに中立の村があるから、そこまで飛びましょう」

「あれ?スイルベーンって街のほうが近いんじゃ?」

リーファはやや呆れた途端、俺がキリトの顔を見ながら教えた。

「あそこはシルフの街。多種族の俺達は入れない」

「何か問題あるのか?」

あっけらかんとしたキリトの言葉に、俺は思わず絶句する。

ALOにログインする事前に多少の下調べをしたおかげで、このゲームのことは大体わかってる。しかし、キリトのこの様子は下調べをまったくしていない証だ。

「……問題っていうか……街の圏内じゃキミ達はシルフを攻撃できないけど、逆はアリなんだよ」

「へぇ、なるほどね……。でも、別にみんなが(そく)襲ってくるわけじゃないんだろ?リーファさんもいるしさ。シルフの街って綺麗そうだから見てみたいなぁ」

「……リーファでいいわよ。まあ、そう言うなら構わないけど……命の保証まではできないわよ。ネザーさんは構いませんか?」

リーファは肩を竦め、俺に敬語で話した。やんちゃで子供っぽいキリ
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