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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
風妖精との出会い
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メです!!」

幼い女の子の声だ。咄嗟(とっさ)に周囲をキョロキョロと見回すが人影はない。と、スプリガンがやや慌てた様子で言った。

「あ、こら、出てくるなって」

視線を向けると、スプリガンの短衣の胸ポケットから何やら光るものが飛び出すところだった。小さなソレはシャランシャランと音を立てながらスプリガンの顔の周りを飛び回る。

「パパにくっついていいのはママと私だけです!」

「ぱ、ぱぱぁ!?」

呆気に取られながら数歩近寄ってよくよく見ると、それは手のひらに乗るような大きさの妖精だった。ヘルプ・ウィンドウから召喚できるナビゲーション・ピクシーだ。だがあれは、ゲームに関する基本的な質問に定型文で答えるだけの存在だったはずなのだが。

リーファは少年に対する警戒も忘れ、飛び回る妖精にマジマジと見入った。

「あ、いや、これは……」

スプリガンは焦った様子でピクシーを両手で包み込むと、引き()った笑いを浮かべた。リーファはその手の中を覗き込みながら訪ねた。

「ねぇ、それってプライベート・ピクシーってやつ?」

「へ?」

「あれでしょ、プレオープンの販促(はんそく)キャンペーンで抽選配布されたっていう……。へぇー、初めて見るなぁ」

「あ、わたしは……むぐ!」

何か言いかけたピクシーの顔を少年スプリガンの手が覆った。

「そ、そう、それだ。俺クジ運がいいんだ」

「ふーん……」

リーファは改めてスプリガンとインプの少年を上から下まで眺めた。

「「何だよ?」」

思わず2人同時に言葉を発した。

「いや、変な人達だなぁと思って。プレオープンから参加してるわりにはバリバリの初期装備だし。かと思うと2人ともやたら強いし」

言葉に追い詰められそうになった時、今まで沈黙を通していた少年インプが唇を動かした。

「俺達、昔アカウントを作ったんだが、今までは別のVRMMOをやっていた。このゲームを始めたのはつい最近だ」

「へぇー」

どうも()に落ちないところもあったが、他のゲームでアミュスフィアに慣れているというなら、ズバ抜けた反射速度を持っていることについても頷けなくもない。

「それはいいけど、なんでインプとスプリガンがこんなところでウロウロしてるのよ。領地はもっと東側でしょ」

「あ、その、俺達、み、道に迷って……」

「迷ったぁ?」

情けない顔でスプリガンが返した答えに、リーファは思わず吹き出してしまった。

「方向音痴にもほどがあるよー!キミ達変すぎー!」

スプリガンの傷ついた表情で(うな)()れる姿を見ていると腹の底から笑いがこみ上げてくる。一方インプは、道に迷ったの一言でここまで笑えるものなのかどうかに疑問を
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