暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
妖精の世界
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イテム欄に指を滑らせると、文字化けしているアイテムをまとめて選択した。

この中には、アインクラッドでの思い出が詰まった品もいくつかある。だが、今は感傷などに浸ってる時ではない。それに、どうせもう名前をわからず、オブジェクト化もできない余計なアイテムだ。

文字化けアイテムを全て消去すると、残ったのは正規の初期装備品だけとなった。

「このスキル熟練度のほうは大丈夫なのか?」

「システム的には問題ありません。プレイ時間と比較すれば不自然ではありますが、人間のGMが直接確認しない限り大丈夫でしょう」

「そ、そうか」

「またビーターになった気分だ」

皮肉な俺の言葉に、キリトが言葉を返した。

「いや、ビーターというより、単なるチーターだ」

だが、自分達のキャラクターが強力であるのは好都合である。《世界樹》とやらに登り、アスナを探し出す。それがこの世界にやってきた理由なのだから。まっとうにゲームをプレイする暇などない。

それに、ステータス・ウィンドウを仔細(しさい)に眺めているうちに、この世界ではキャラクターの数値的強さにはあまり重さが置かれていないことに気づいた。SAOに存在した敏捷力(びんしょうりょく)や筋力パラメータはそもそも見当たらないし、ヒットポイントやマナポイントの上昇幅も微々たるものである。各種武器スキルは、上昇しても装備できる武器の種類が増えるだけで、威力には影響しない。当然SAO最大の特徴だった各種ソードスキルも存在しない。

つまり、このALOはプレイヤー本人の動きと判断力が強さを決定するというアクション重視の味付けをされたゲームなのだろう。SAOのように、ずっとレベルの低い敵相手なら棒立ちで打たれるがままになってもHPはろくに減らない、などということはなさそうだ。

唯一未知数なのはSAOでは排除されていた《魔法》で、おそらくはインプの初期スキルらしい《闇属性魔法》というのが所持欄に登録されているが、こればかりは実際に使ってみなければ何とも言えない。

ウィンドウを閉じた俺は、相変わらずキリトの胸に密着して猫のように眼を細めているユイに訊ねた。

「ユイ、お前はこの世界ではどういう扱いになっている?」

彼女の実体は人間ではない。SAOのケアプログラムが異常変化を起こし、その結果生まれた人工知能、つまり《AI》である。

2025年現在、いくつかの研究機関が《限りなく知能に近い人工知能》を発表している。

プログラムの《知性的振る舞い》は、突き詰めていくと見かけ上は疑似的(ぎじてき)な知能と真の知能との(さか)い目が曖昧になっていき、現在ではそれら境界上(きょうかいじょう)のAIがもっとも先進的なものとされている。

ユイもそのような存在なのかもしれない。人
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