暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
新たな冒険
[2/10]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
い。先が思いやられるが、とりあえずその件を解決することは後回しにした。俺はキリトの隣のカウンター席に位置するスツールに腰掛けた。
その後、エギルが楽し気に話し始めた。自分の本名は《アンドリュー・ギルバート・ミルズ》だ、とわざとらしく名乗り、人種は
生粋
(
きっすい
)
のアフリカ系アメリカ人だということも教えた。俺が来る前、すでにキリトに話したようだが、自分のことを知ってもらおうとする奴の行動は明白だった。
住み慣れた御徒町に喫茶店バーを開いたのが25歳の時。客にも恵まれ、美人の奥さんを貰って、さあこれからという時にSAOの
虜囚
(
りょしゅう
)
となった。生還後は店のことを諦めたそうだが、奥さんが細腕で
暖簾
(
のれん
)
を守り抜いたという。
エギルの話など俺にはどうでもいいが、こういった
人気
(
ひとけ
)
のない店は俺の好みだった。人が多い所にいると、他人から変な眼で見られることがある。おそらく顔の傷痕のせいだと思うが、数年も経てばそれほど気にならなくなった。
実際、固定客が多いのだろう。木造の店内は、行き届いた手入れによって全ての調度が見事な
艶
(
つや
)
を纏い、テーブル4つにカウンターだけの狭さもまた魅力と思える居心地のよさを漂わせている。
だがそろそろエギルの話に区切りをつけたいと思った途端、キリトが「わかったわかった、もう充分だ」と途中から口を挟んでエギルの話を止めさせた。エギルも、正気を取り戻したように落ち着き、真剣な顔を作った。周りが落ち着いたところで、早速キリトは写真のことを問い質した。
「で、あれはどういうことなんだ?」
エギルはすぐには答えず、カウンターの下に手をやり、長方形のパッケージを取り出すと2人のほうに滑らせた。俺がそれを右手で受け止め、キリトとの間の中央に置いた。
手の平サイズのパッケージは、明らかにゲームソフトのものだと思われた。プラットフォームは何だろうと眼を凝らすと、右上に印刷された《AmuSphere》なるロゴに気づく。
「聞いたことないハードだな……」
首を傾けたキリトに、俺が答えた
「《アミュスフィア》だ。俺達がSAOにいる間に開発された、ナーブギアの後継機だ」
「……マジかよ?」
複雑な心境でその2つのリングを
模
(
かたど
)
ったロゴマークを見つめるキリトに、俺が簡単な注釈を加えた。
あれだけの事件を起こし、悪魔の機械とまで言われたナーブギアだが、フルダイブ型ゲームマシンを求める市場のニーズは誰にも押し留めることはできなかった。SAO事件勃発からわずか半年後に、大手メーカーから「今度こそ安全」と
銘
(
めい
)
打
(
う
)
たれた後継機が発売され、俺達が異世界に囚われてる間に
従来
(
じゅうらい
)
の
据置型
(
すえおきがた
)
ゲーム機とシェアを逆転するまでになった。それがこの《アミュス
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ