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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
新たな冒険
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い。先が思いやられるが、とりあえずその件を解決することは後回しにした。俺はキリトの隣のカウンター席に位置するスツールに腰掛けた。

その後、エギルが楽し気に話し始めた。自分の本名は《アンドリュー・ギルバート・ミルズ》だ、とわざとらしく名乗り、人種は生粋(きっすい)のアフリカ系アメリカ人だということも教えた。俺が来る前、すでにキリトに話したようだが、自分のことを知ってもらおうとする奴の行動は明白だった。

住み慣れた御徒町に喫茶店バーを開いたのが25歳の時。客にも恵まれ、美人の奥さんを貰って、さあこれからという時にSAOの虜囚(りょしゅう)となった。生還後は店のことを諦めたそうだが、奥さんが細腕で暖簾(のれん)を守り抜いたという。

エギルの話など俺にはどうでもいいが、こういった人気(ひとけ)のない店は俺の好みだった。人が多い所にいると、他人から変な眼で見られることがある。おそらく顔の傷痕のせいだと思うが、数年も経てばそれほど気にならなくなった。

実際、固定客が多いのだろう。木造の店内は、行き届いた手入れによって全ての調度が見事な(つや)を纏い、テーブル4つにカウンターだけの狭さもまた魅力と思える居心地のよさを漂わせている。

だがそろそろエギルの話に区切りをつけたいと思った途端、キリトが「わかったわかった、もう充分だ」と途中から口を挟んでエギルの話を止めさせた。エギルも、正気を取り戻したように落ち着き、真剣な顔を作った。周りが落ち着いたところで、早速キリトは写真のことを問い質した。

「で、あれはどういうことなんだ?」

エギルはすぐには答えず、カウンターの下に手をやり、長方形のパッケージを取り出すと2人のほうに滑らせた。俺がそれを右手で受け止め、キリトとの間の中央に置いた。

手の平サイズのパッケージは、明らかにゲームソフトのものだと思われた。プラットフォームは何だろうと眼を凝らすと、右上に印刷された《AmuSphere》なるロゴに気づく。

「聞いたことないハードだな……」

首を傾けたキリトに、俺が答えた

「《アミュスフィア》だ。俺達がSAOにいる間に開発された、ナーブギアの後継機だ」

「……マジかよ?」

複雑な心境でその2つのリングを(かたど)ったロゴマークを見つめるキリトに、俺が簡単な注釈を加えた。

あれだけの事件を起こし、悪魔の機械とまで言われたナーブギアだが、フルダイブ型ゲームマシンを求める市場のニーズは誰にも押し留めることはできなかった。SAO事件勃発からわずか半年後に、大手メーカーから「今度こそ安全」と(めい)()たれた後継機が発売され、俺達が異世界に囚われてる間に従来(じゅうらい)据置型(すえおきがた)ゲーム機とシェアを逆転するまでになった。それがこの《アミュス
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