暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
新たな冒険
[1/10]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
《エギル》が経営する喫茶店バーは、台東区御徒町のごみごみした裏通りにある。
煤
(
すす
)
けたような黒い木造で、そこが店であることを示すのは小さなドアの上に造り付けられた金属製の飾り看板に刻まれた店名は《Dicey・Cafe》。
カラン、という乾いたベルの音を響かせてドアを押し開けると、カウンターの向こうで
禿頭
(
とくとう
)
の
巨漢
(
きょかん
)
が顔を上げ、ニヤリと笑った。客が約1名いた。
「よぉ、意外に速かったな」
客の1人は、俺にメッセージを送ってきた黒髪の少年。キリトだった。
そしてもう1人が、この店を経営する大柄な男、エギル。
「久しぶり、あ、いや。こっち側では初めてだったな、ネザー」
2ヶ月が過ぎて俺が顔を合わせたSAO生還者は、キリトだけ。エギルとはたった今顔を合わせたばかりだが、キリトに続く2人目には違いない。
「……そうだな」
俺の態度を見たエギルに__
「なんだよ、こっちでも暗い奴だったんだな。ドイツ人ってのはみんなそうなのか?」
と言われた。
俺がドイツ人であることはキリトから事前に聞いていたと悟り、逆に言い返してやった。
「不景気な店を営むお前に言われたくねぇよ」
「うるせぇ、これでも夜は繁盛しているんだ」
まるでSAO世界に戻ってきたように、安い遣り取りを交わす。エギルとこの店は、第50層《アルゲート》の雑貨屋を思い出させる。しかも店内にいる客は俺とキリトの2人だけ。隅っこにさえ他の客の姿が見えなかった。
先日、病院から自宅に戻った際に俺はZECTに連絡を入れ、SAOサーバーの維持を委託された会社《レクト》__フルダイブ技術研究部門を調べるよう指示を出した。本来なら長官の《ネイサン・ブライス》に連絡を入れるものだが、組織のトップは立場上忙しく、連絡を取れる暇もないことがある。故に保険として長官補佐官の《菊岡誠二郎》に連絡を入れた。更に菊岡との会話で、驚くべき事実を知った。
菊岡がSAO事件の情報をキリト__《桐ヶ谷和人》から自身の知る範囲内から提供してもらったという事実を。
つまりZECTは俺だけではなく、他の生還者達からも事情聴取を行ったということだ。キリトの場合はSAO情報を提供する引き換えとして、アスナの入院する病院の場所、自分の思いつく限りの知り合いの本名と住所のリストを入手。事情聴取を公平な取引に利用したのだ。
知り合いの生還者達と再開するつもりは
毛頭
(
もうとう
)
なかった上に、身元を積極的に調べなかった俺が、運命のイタズラに晒されたかのように再会してしまった。何より気掛かりなのは、エギルが俺の正体を知った生還者の1人ということだ。ヒースクリフを倒すためだったとは言え、アインクラッド第75層でカブトに変身したのは不味かったかもしれな
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ