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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
フェアリィ・ダンス
再会
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昔から決まっています。明日奈さんが、今の美しい姿でいるあいだに、ドレスを着せてあげたいのです」

「……そうだな。そろそろ覚悟を決める時期かもしれないな……」

話の流れが見えず2人が沈黙していると、結城章三がこちらを見た。

「では、私は失礼させてもらうよ。桐ヶ谷君、また会おう」

頷いてから、結城章三は大柄な体を(ひるがえ)して病室のドアへと向かった。開閉音の後には、俺、和人、そして須郷の3人だけが残された。

須郷はゆっくりとベッドの下端を回り込むと、向こう側に立った。左手でア明日奈の髪をひと(ふさ)つまみ上げ、音を立てて()り合せるその仕草に、2人は言い難い嫌悪を覚える。

「……キリト君、だったね。キミはあのゲームの中で、明日奈と一緒に暮らしてたんだって?」

「……ええ」

「それなら、僕とキミはやや複雑な関係ということになるかな」

顔を上げた須郷と和人の眼が合う。その瞬間、和人はこの男の第一印象が大きく間違っていたことを悟った。

俺も傍らで見ていた。須郷の細い眼から、やや小さい瞳孔(どうこう)三白眼(さんぱくがん)気味に覗き、口の両端をキュッと吊り上げて笑うその表情は、酷薄(こくはく)という以外に表現する言葉を持たない。背筋にヒヤリと戦慄(せんりつ)が走る。

「さっきの話しはねぇ……」

須郷は愉快でたまらないという感じにニヤニヤと笑いながら言った。

「僕と明日奈が結婚するという話だよ」

和人はもちろん、俺も絶句した。須郷の台詞には、何か凍るような冷気と途方もない野望を感じた。数秒間黙り込んだ和人は、どうにか言葉を絞り出した。

「そんなこと……できるわけ……」

「確かに、この状態では意思確認が取れないゆえに法的な入籍(にゅうせき)はできないがね。種類上は僕が結城家の養子に入ることになる。……実のところ、この娘は、昔から僕のことを嫌っていてね」

須郷は左手の人差し指を明日奈の頬に()わせた。

「親達はそれを知らないが、いざ結婚となれば拒絶される可能性が高いと思っていた。だからね、この状況は僕にとって非常に都合がいい。当分眠っていてほしいね」

須郷の指が明日奈の唇に近づいていく。

「やめろ!」

和人は無意識の内にその手を掴み、明日奈の顔から引き離していた。ここで、今まで沈黙していた俺が強張った声で問い質す。

「貴様……アスナの昏睡状態を利用する気か……」

須郷は再びニイッと笑うと和人の手を振り払い、言った。

「利用?いいや、正当な権利だよ」

須郷は俺に視線を向けると、問題を出すように質問をした。

「ねえネザー君。SAO開発した《アーガス》がその後どうなったか知っているかい?」

俺はまるで計算力
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