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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
フェアリィ・ダンス
再会
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下端をスリットに滑らせる。かすかな電子音と共にドアが開いた。
部屋の中へと一歩踏み込むと、真冬にも関わらず、色とりどりの生花が飾られ、カーテンで仕切られたその病室に、先客がいた。
「……え?」
病室に入ってきた俺に気づいた先客は、ゆっくりと顔を後ろへ振り向けた。
大人しいスタイルの黒髪。長めの前髪の下に、
柔弱
(
にゅうじゃく
)
そうな黒い瞳。一目見ただけでもすぐにわかった。間違いなく、キリト__《桐ヶ谷和人》だ。
俺の顔を見た途端に眼を見開いた和人は、数秒間も顔を凝視してようやく口を動かした。
「……ネザー……なのか?」
顔を見れば一目瞭然。あちらも俺が《ネザー》だと気づいた。
「……久しぶり……いや、こっちでは初対面だな、キリト」
突然の再会に少々戸惑う2人。SAOでは何度も顔を合わせたというのに、現実で顔を合わせた途端、なぜか困惑な気分になった。
「キリト……いや、《桐ヶ谷和人》」
「ああ。……て、なんで俺の本名を知ってるんだよ!?」
いきなり自分の本名を呼ばれ、再び眼を見開いた。
そして俺は和人に「ZECTから事情聴取を受けた」「引き換えに情報を提供してもらった」などと言い訳染みた話をする羽目になり、それ以上は何も話さなかった。
単純な説明が終了し、2人はベッドに横たわる可憐な少女に意識を集中した。
最先端のフル介護型ベッド。白い、清潔な上掛けが低い陽光を反射して
淡
(
あわ
)
く輝いている。その中央に眠る__栗色のロングヘアーの少女。
「……SAOから帰還して……もう2ヶ月も経つんだな」
「決して忘れられない記憶になるだろうな」
久々の会話がどうも成り立たなかった。しかし、和人は俺にもっともな疑問を顔と共に向けた。
「ネザー。あ、いや……こっちでは何て呼べばいいんだ?」
「………」
和人に問われた途端、俺はしばらく沈黙した。しかし、自分の本名を教えるべきかどうかに迷う必要はなかった。
「ネザーのままでいい」
「キャラネームのままでいいのか?」
ネザーという名は元々、ZECTのエージェントになった時に付けられた俺のコードネーム。つまり本名を伏せる隠れ蓑の役割を担ってくれている訳だ。
そんな事情も知らない和人の関心は徐々に薄れていく。
「まぁ、いいけどよ。お前が外国人だってことは見た目でわかるけど……何人?」
「……ドイツ人だ」
これは別に隠すほどのことでもなかった。
実に落ち着いた小声で返事をする俺に対し、現実でもクールなんだと和人は少なからず感心した。
だが本名や出身国以上に気になる疑問があった。和人は一瞬、お前が《赤い閃光》なのか、と質問しようとしたが、その質問をすべきなのかどうか
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