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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
フェアリィ・ダンス
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」
冷やかなエフェクトがかかった低い声__ボイスチェンジャーによる音声変化__スピーカー越しのような声__を放つ者の姿が眼に入った瞬間、俺は思わず叫んだ。
「……お前はっ!?」
目の前に立つ男が何者か__俺には一目見ただけでわかってしまった。
なぜなら__俺が10年間も追い続けてきた最大の宿敵なのだから。
俺は即座に「来い!」と念じ、《カブトゼクター》を呼び寄せた。わずか数秒でやってきたカブトゼクター自身がゼクターバックルに自ら装着されたと同時に、ゼクターホーンが勝手に右に展開された。
あっという間にクイックフォームに変身した途端、相手の男の姿は__一瞬で掻き消えた。
「逃がすか!!」
【Clock Up】
クロックアップを発動させ、相手を追跡した。
最高速を出そうと俺は必死に走った。怒り、憎しみ、アドレナリンがスピードを高めたことはあるが、今回は俺にとって《生涯の敵》とも言える男が相手だ。奴に対する憎悪が、俺を今まで以上に速くした。
今俺の頭にあるのは__奴を殺すことだけだった。
俺達2人は町中を駆け巡り、俺は男を追い、男は俺から逃げる。その繰り返しだった。追い付こうとしても、なぜか追い付けない。スピードが互角なのか、それとも奴のほうが速いのか。
アインクラッドの虜囚となる以前に、一度だけクロックアップで奴を追跡したことがある。その時は追いつけずに見失い、止むを得ず追跡を断念した。あの時は自分のスピードが足りないと思い、もっと強く、速くなる訓練を積むためのきっかけとなった。そのおかげで以前にも増して力を付けたが、俺はまだ奴に追いつけない。
現実の時間流では数分しか経過してないが、俺と奴は少なくとも高速の時間流で数時間も走り続けてる。
__その矢先。
【Clock Over】
街からかなり離れた、人っ子一人もいない広い空き地で相手が動きを止め、現実の時間流に降り立った。釣られるように俺も立ち止まり、眼前の敵に向かって問い詰めた。
「お前だな。10年前、俺の家に現れた……!」
眼前の敵の姿形は、クイックフォーム時のカブトと同型。しかし、複眼は黄色く、全身が黒い。ゼクターバックルに装着されたカブトゼクターまでもが黒く、胸板部分の装甲には血管が
描写
(
びょうしゃ
)
されたかのような赤い配線状のラインが描かれている。
「なぜ……なぜ父さんと母さんを殺した!?」
そこまで言うと、黒いカブトは落ち着いた声で答えた。
「どうしても知りたいなら、私を捕まえてみろ」
そう言って再びクロックアップを発動させようとする黒いスピードスター。カウントダウンが始まり、両者一斉に最大限のスピードを発揮する。
人、音、風。全てが静止した世界で互いに孤立
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