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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
終盤
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ンドウを消去し、両手を白衣のポケットに突っ込むと言った。

「そうだ、彼らの意識は帰ってこない。死者が消え去るのは、どこの世界でも一緒だ」

それが4000人を殺した人間の台詞かどうかはわからないが、代わりに別の質問を重ねた。根源的な、おそらく全プレイヤー、そしてこの事件を知った全ての人が抱いたはずの疑問。

「なぜ……こんなことをした?晶彦……あんたは何のために……この世界を作ったんだ?」

晶彦は苦笑を漏らす気配がした。しばしの沈黙。

「なぜ……か。私も長い間忘れていたよ。なぜだろうな?フルダイブ環境システムの開発を始めた時……いや、その遥か以前から、私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越(ちょうえつ)した世界を創り出すことだけを欲して生きてきた。そして私は……私の世界の法則をも超えるものを見ることができた」

晶彦は静謐(せいひつ)な光を(たた)えた瞳を俺に向け、すぐに戻した。

少し強く吹いた風が、茅場と俺の衣類と髪を揺らした。巨城の崩壊を半端以上にまで及んでいる。

無垢な表情を浮かべる俺が、虚しそうに言った。

「結局……俺の人生は戦いの中にしかない。現実に戻っても……同じことだ」

「本当にそうかな」

「……?」

「子供は、次から次へといろんな夢想をするものだろ。空に浮かぶ鋼鉄の城の空想に私が取りつかれたのは何歳の頃だったかな……」

「その話……最初に俺が聞いた話だったな」

「ああ。その情景だけは、いつまで経っても私の中から消え去ることはなかった。この地上から飛び立って、あの城に行きたい……長い間、それが私の唯一の欲求だった」

「その欲求は……叶ったのか?」

「どうだろうな?例えそうでなかったとしても、私はまだ信じているのだよ、ネザー君。どこか別の世界には、本当のあの城が存在するのだと……」

不意に、俺は自分がその世界で生まれ、剣士を夢見て育った少年の姿を想像した。

「俺も昔は……自分が不幸にならない、幸せでいられる世界があるのなら……そこに行きたい。そう望んだこともあった。だからこそ……あんたの話に引き込まれたのかもしれない」

俺は呟くように語った。

「それは褒め言葉として受け取っておくよ」

再び沈黙が訪れた。視線を遠くに向けると、崩壊は城以外の場所にも及び始めていた。無限に連なっていたはずの雲海と赤い空が、遥か彼方で白い光に呑み込まれ、消えていくにが見える。光の侵食はあちこちで発生し、ゆっくりとこちらに近づいているようだ。

「……言い忘れていたな。SAO開発に手を貸してくれて、ありがとう。そして……ゲームクリアおめでとう、ネザー君」

ぽつりと発せられた言葉に、俺は右隣に立つ茅場を見上げた。晶彦は穏やかな表情で俺を
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