暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
終盤
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たことはあった。だがこうして実物を外部から眺めるのは初めてだ。

だが。

鋼鉄の巨城は__今まさに崩壊しつつあった。

俺が無言で見守る間にも、基部フロアの一部が分解し、無数の破片を撒き散らしながら剥がれ落ちていく。耳を()ませると、風の音に混じって重々しい轟音(ごうおん)がかすかに響いてくる。

下部が一際大きく崩れ、構造材に混じって無数の木々や湖の水が次々に落下し、赤い雲海に没していった。2年間の記憶が焼き付いた浮遊城の層1つ1つが、薄い膜を剥がすようにゆっくりと崩落していくたび、安心と残念が混じったような気分になった。

不思議なことに心は穏やかだった。自分がこれからどうなるのか、どうすればいいのか、何もわからない。ただ、この世界の最後を()()っている。どこか満ち足りた感じがした。

「なかなかの絶景だな」

不意に傍らから声がした。俺は視線を右に向けると、いつの間にかそこに男が1人立っていた。

__《茅場晶彦》だった。

ヒースクリフではなく、SAO開発者としての本来の姿だ。白いシャツにネクタイを締め、長い白衣を羽織っている。線の細い、鋭角的な顔立ちの中で、それだけは変わらない金属的な瞳が、穏やかな光を湛〔たた)えて消えてゆく浮遊城を眺めている。

この男とはつい数十分前まで互いの命を懸けた死闘を繰り広げていたはずなのに、俺の感情は静かなままだった。この永遠の夕刻の世界に来る時に、怒りや憎しみを置き忘れてしまったのだろうか。俺は晶彦から視線を外すと、再び巨城を見て口を開いた。

「何が、起きているんだ?」

「比喩的表現……と言うべきかな」

晶彦の声は静かだった。

「現在、アーガス本社地下5階に設置されたSAOメインフレームの全記憶装置でデータの完全消去作業を行っている。あと10分ほどで、この世界の何もかもが消滅するだろう」

「75層のボス部屋にいた連中は、どうなった?」

俺がポツリと呟いた。

「気にすることはない。先ほど__」

晶彦は右手を動かし、表示されたウィンドウをチラリと眺めて続けた。

「生き残った全プレイヤー、6147人のログアウトが完了した」

ならば、キリトもアスナも、この世界で2年間を生き延びた人間達は皆、向こうに戻れたということだ。

俺は一度眼を瞑り、滲みかけたものを振り払はらうようにして訪ねた。

「俺は今、どういう状態なんだ?俺は……死んだのか?」

「心配には及ばない。最後にキミと少しだけ話をしたくて、時間を作らせてもらっただけだ。キミも時期にログアウトできる」

その言葉に安心したが、どこか喜べない部分があった。

「今までに死んだ人間は……戻ってこないんだな」

晶彦は表情を変えずにウィ
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