暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
終盤
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
いた口元には穏やかな笑みが浮かんでいる。

彼のHPは__全損した。

ヒースクリフの体を剣で貫いた姿勢のまま、俺達はその場に立ち尽くしていた。力を使い切り、俺は宙を見つめた。

終わった……のか……。

クロックアップは解除され、俺は現実の時間に戻った途端、(ほの)かな光が一瞬、自分を包み込むのを感じた。

闇に沈んでいく意識の中で、自分が力尽きていることを、そして同時にヒースクリフが砕け散るのを感じた。聞きなれたオブジェクト破砕音が響いた。かすかに俺の名__《ネザー》という名を呼ぶ声は、キリトとアスナだろうか。それともエギルとクラインか。それらに被るように、無機質なシステムの声が__。

ゲームはクリアされました__ゲームはクリアされました__ゲームは……。











「……ここは……?」

全天が燃えるような夕焼けだった。

気づくと、俺は不思議な場所にいた。

足元は分厚い水晶の板だ。透明な床の下には赤く染まった雲の重なりがゆっくり流れている。振り仰げば、どこまでも続くような夕焼け空。鮮やかな朱色(しゅいろ)から血のような赤、深い紫に至るグラデーションを見せて無限の空が果てしなく続いている。かすかに風の音がする。

赤金色に輝く雲の群以外何も無い空に浮かぶ小さな水晶の板、その(はし)に俺は立っていた。

ここはなんだ?俺は確かに茅場を倒し、SAOはクリアされたはず……?まだSAOのの中にいるのか?

自分の体に視線を落としてみる。カブトの姿ではなく、人間の姿でいた。服装も、フードに籠手といった装備類はそのままだった。

右手を伸ばし、指を軽く振ってみた。耳慣れた効果音と共にウィンドウが出現する。ということは、ここはまだSAO内部ということだ。

だがそのウィンドウには、装備フィギュアやメニューの一覧が存在しないただ無地の画面に一言、小さな文字で【最終フェイズ実行中 現在54%完了】と表示されているだけだ。見つめるうち、数字が55へと上昇した。ヒースクリフの体が崩壊すると同時に、意識が現実に帰還できると思っていたが、なぜこんなことに__。

肩を(すく)めてウィンドウを消去した時、俺の立つ水晶板から遠く離れた空の一点に__浮かんでいた。円錐形(えんすいけい)の先端を切り落としたような形。薄い層が無数に積み重なって全体を構成している。眼を()らせば、層と層の間には小さな山や森、湖、そして街が見て取れる。

「アインクラッド……」

俺の呟きの通り、あれはアインクラツド。無限の空に(ただよ)う巨大浮遊城。俺達プレイヤーが2年間の長きにわたって戦い続けた剣と戦いの世界。それが今、眼下にある。

この世界に来る前、現実の世界でその外観を眼にし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ