第42話<居残り参謀>
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何を考えていたのだろうか?
少し気持ちが軽くなった私は参謀たちに言った。
「では皆さん、いったん執務室へ上がりましょうか」
そして私は少し身をかがめると寛代に言った。
「お前のお陰で気が楽になったよ……そこで頼みだが祥高さんか鳳翔さんに言って執務室までお茶を持ってきてくれ」
彼女は少し微笑んで敬礼をすると小走りで本館へ入って行った。あの子も不思議な子だな。
「駆逐艦娘って言うのは、どこの鎮守府でも可愛らしいですな」
呉が言う。不思議とその言い方は爺さんが孫娘を語るように自然だった。
「そうですね、あの姿で海軍のどの艦船よりも強いから摩訶不思議ですね」
これは神戸。参謀という位置に立っても彼にとって艦娘は超越した存在なのだろう。
「……」
舞鶴は無言。だが何かは感じているらしい。彼の顔に少し表情らしきものが浮かんでいる。
将校が戻って緊張の解けた参謀たちはリラックスした感じで2階へ向かう。
美保鎮守府の執務室は大山が良く見える。晴天の日に、初めてこの部屋に入った人は必ず感嘆の声を上げる。
「おお、大山ですか!」
「キレイですね!」
「……」
三者三様である。
「えぇですなぁやっぱり。ここは鎮守府そのものが観光地のようで」
「そうですね、風光明媚な……山陰は手付かずの自然が多いですね」
呉と神戸は既にリラックスムードだ。
「呉にも、ぎょうさん艦娘は居るんやけど部隊そのもンが大きいから、まぁ普段は、うまく誤魔化されとるんやなぁ」
そういう呉は将校の前と今では喋る口調が違うな。
少し若い神戸の参謀も言った。
「そういえば神戸の提督が美保の司令に、よろしくと申しておりました。あの……司令と提督は兵学校で同期だと伺いましたが」
旧友の顔を想像しながら私は応えた。
「うむ。同級の頃から、なぜか気があってね。確かあいつ山口出身だったな」
神戸は笑顔になった。
「左様であります。実はうちの提督、ここ美保をとても羨ましがって居りました」
神戸鎮守府もまた普通の艦船と艦娘の混成部隊だ。それに比べたら美保は「ハーレム」なのだろう。
私は言った。
「神戸には既に艦娘部隊もある。べつに改めて君のように視察を送るほどではないと思うが……」
その問いに神戸は答えた。
「実は私、今年の参謀試験に合格したばかりでして……神戸は初の着任先なのです。艦娘の実戦指揮は、まだでして……」
「なるほど」
「はい、やはり知人が指揮をする鎮守府なら……ということで」
その言葉に少し嬉しい気持ちになった。
すると自分のアゴを触りながら呉が問いかけてきた。
「ときに司令は以前、舞鶴に居ったとか?」
「ええ、まあ」
呉は今度は横を向
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