第41話<将校の想い>
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い時間が終わった。
改めて時計を見ると、もうお昼だった。将校と参謀たちは美保鎮守府の1階にある応接室で昼食をとることになった。
祥高さんと鳳翔さんが慌ただしく昼食の配膳準備をしている。祥高さんはずっと働き詰めだな。倒れやしないか?
「小さい鎮守府だと艦娘も役割が多くて大変ですね」
神戸も心配している。
だが私は思った。祥高さんって自分から忙しくしているような印象も受けるんだよね。
いつの間にか私の横に寛代が来ていたが祥高さんにつまみ出された。
その光景を珍しそうに呉が見ている。
「まことに不謹慎な意見かも知れませんが。こういう老若男女が集う家族的な雰囲気も悪くありませんな」
齢を重ねているせいか彼は言い難そうなことを、はっきりと言う。
神戸も言う。
「この料理も男性とは違う細やかさがあります」
その褒め言葉に鳳翔さんが微笑んでいる。
先ほどよりは少し緩やかな表情になった青年将校が応えた。
「艦娘たちも見た目は普通の女性と変わらない。しかし、いざとなれば彼女たちが自ら最前線に立つ気概があることは我々は決して忘れてはいけない」
一瞬、参謀たちの箸が止まった。
穏やかではあるが凛とした声で将校は言った。
「むしろ部隊に艦娘がいることで男性軍人は、より一層自分を律さねばならないだろう」
意外に将校は艦娘を高く評価しているようだ。
「しかし同性なら気兼ねなく接するのですが女性相手は、やり難いですなあ」
呉が実感のこもった言い方をする。
「実はな……」
間をおいて将校が言った。
「本省にも数人、艦娘の制服組が居る」
『え?』
これには参謀たちは改めて驚いた顔をした。
「だから今後は地方にも少しずつ艦娘の指揮官が現れるかもしれない」
将校は何食わぬ顔で食事を続けた。なるほど彼が艦娘を高く評価するわけだ。軍隊の男性といえどもウカウカ出来ない時代になっていくのだな。
私を始め参謀たちも互いに顔を見合わせながら改めて襟を正される思いになるのだった。
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