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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 43
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を見過ごしたり、信仰が内部崩壊するような重大事件でも起きなければ、当分の間は現状維持だろうよ」

 集合体故の副作用は避けられないが。
 ミートリッテがリアメルティの名を持つアリア信仰の関係者である限り、リアメルティ領は護られる。

 たとえ、ミートリッテ本人がリアメルティ領から離れた場所に居ても。
 『ミートリッテ=ブラン=リアメルティ』の存在が世界的に大きくなればなるほど、リアリティ領を、恩人達を、ハウィスを、護れる。

「ハウィス……っ」

 隠し切れない戸惑いや寂しさと、ほんの少し湧き上がった喜びを胸に。
 丸くなった目をハウィスへと向け

「…………??」

 何故か物凄く驚いている様子の真ん丸な目と、視線が重なった。
 すり寄ってきた鳥にいきなり豆粒をぶつけられたような顔になっている。

「ど、どうしたの、ハウィス?」
「……っ …………??????」
「ああ……ハウィスさん達も知らなかったんですよね、アルスエルナ王国の爵位制度」
「はい??」

 唇を震わせるハウィスの代わりに、けろっと答えるアーレスト。

「知らなかったって……仮にも王族の後ろ楯を持って七年も騎士を務めてた貴族が?? 当代領主なのに?? 継承前に教えてなかったの??」
「なにせ、爵位も領地も、鳥を介して短い文書でやり取りしていましたし。殿下以外の貴族とは、貴女が睡眠中か、働いているか、村を離れている隙に行っていた剣術訓練前後くらいしか、話せる機会がありませんでしたから。これまでの彼女には、貴族階級の知識などそれほど必要なかったのですよ。伯爵と領主を同一の物と考えてしまっても無理はないでしょう。あるいは、どこかで賭けの話を盗み聞きするだろうイオーネさん達を確実に釣る為に、殿下がわざと誤解させていたのかも知れませんが」

 状況や、ミートリッテさんの選択次第では、どちらもミートリッテさんが継いでましたから。
 先ほどまでの流れなら領主の後継者になる可能性も高く、強ち間違いではありませんでしたし。
 あえて訂正する必要を感じなかったので、私も口は挿みませんでした。

 と、さりげなく付け足された情報で、ハウィスの両肩が落ち込む。
 離して良いのか迷うアルフィンの、おどおどした表情が愛らしい。

「そういえば、神父様が最初に承認したのは、伯爵の後継者だったけど……イオーネは私を、領主の後継者とも言ってたし、ハウィス達も賭けの真意については知らされてなかったっぽいよね。あらかじめ教わってたらこんなに苦しまなかっただろうし。これも罰の一環なんですか? お父様……って、呼んでも良いのかな、今」

 なんとなく、もやもやした気分でエルーラン王子へ振り返ると

「さあ? とりあえず、技術でも金でも立場でも人の縁でも一
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