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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十四話 口は災いの元
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宇宙暦 794年 9月 6日  宇宙艦隊総旗艦 アイアース  ミハマ・サアヤ



「おい、ヤン、ミハマ大尉、荷物をまとめるんだ。艦橋へ行くぞ」
「艦橋? 一体何の話だい、ワイドボーン」
「だから、俺もお前も、そしてミハマ大尉も今日から艦橋で仕事だ」
「はあ?」

ヤン大佐が思いっきり不審そうな表情をしました。私も同感です、私達はロボス元帥に思いっきり嫌われているんです。それなのに艦橋に? まず有り得ないことです。

会議室には他にも人が居ます。そのほとんどが私達ほどではなくともロボス元帥からは余り歓迎されていない人達です。私達が艦橋に行くくらいなら他の人が行ってもおかしくありません。周囲の人間も訝しげな表情で私達を見ています。からかわれているのかと思いましたがワイドボーン大佐からはそんな様子は窺えません。

「グリーンヒル参謀長がすぐ来いと言っているんだ。早くしろ」
グリーンヒル参謀長? ますます変です。参謀長が何で私達を? ヤン大佐、ワイドボーン大佐はともかく何で私???

「あの、どういうことなんでしょう?」
「訳を話してほしいな、ワイドボーン」
私とヤン大佐が納得しないと見たのでしょう、ワイドボーン大佐は“しかたないな”と呟くとおもむろに話し始めました。

「昨日の事だ、グリーンヒル参謀長がヴァレンシュタイン大佐と話をした。参謀長はいたくヴァレンシュタイン大佐の才能に感心してな、艦橋に来るようにと言ったんだ。だが彼は嫌だと言った」
「はあ」

ワイドボーン大佐の話は良くわかりません。その代わりに私達、そういうことなのでしょうか? 私はヤン大佐を見ました、大佐も今一つ理解できないような表情をしています。周囲の人達が見ない振りをして私達の様子を窺っています。ちょっと気が重いです。

「グリーンヒル参謀長は諦めなかった。何度もヴァレンシュタインを説得してな、とうとうヴァレンシュタインに条件付きで首を縦に振らせた。条件は一つ、自分の他に俺、ヤン、そしてミハマ大尉の席を用意して欲しい、ということだった」

ワイドボーン大佐が分かったか、と言うように私達を見ました。何のことはありません、私達はおまけの様なものです。本命はヴァレンシュタイン大佐でした。まあそうでもなければ私までということはないでしょう。

「まあ、経緯は分かったがね、大丈夫なのかな? ロボス元帥は私達が艦橋に行くのを喜ばんだろう」
「それについては参謀長が既にロボス元帥の了解を取った。問題はない」

ヤン大佐が“はあ”と溜息をついて頭を?きました。
「分かっているんだろう、ワイドボーン。ヴァレンシュタイン大佐が私達を呼ぶ事を条件に付けたのは、ロボス元帥が承諾しないと見たからだ。私達が艦橋に行ってもヴァレンシュタイン大佐も喜ばなければ
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