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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十四話 口は災いの元
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を許している事だ。ようするに原作の帝国領侵攻作戦と同じ状況になっている。ヴァンフリートの屈辱がこの二人の連帯を必要以上に強めてしまったらしい。

参謀達が席順に文句を言わなかったのもそれが原因だ。新しく入ってきた参謀達、そして元々居た参謀達の中にもフォークを不愉快に思い、それを許しているロボスに不満がある連中がいる。そういう連中が俺を艦橋に呼ぶことに賛成し席順にも同意した。

皆内心ではこの戦いは上手く行かないと感じ始めている。何処かで撤退をと言わなければならないだろうとも感じている。そしてロボスがなかなか同意しないだろう事も……。

そんな時、グリーンヒル参謀長が俺をやたらと褒め始めた。例の駄法螺作戦を聞いた後だが、“ヴァレンシュタイン大佐は凄い”、“当代随一の戦略家だろう”なんて言い始めた。そこで俺に目をつけた。

彼らにとって俺はフォークの愚案を三分で叩き潰した男らしい。おまけにメルカッツは来ないがオフレッサーは来るという予想も当たった。アイアースに乗り込んでからは一向に仕事をしない。明らかにロボスやフォークに反抗している。

誰だって撤退しようとは言い辛い。皆が俺に期待しているのはその言い辛い事を言って欲しいという事のようだ。子供か? 自分で言えよな、そんな事。頭痛いよ。

ロボスは頑なに俺の方を見ない。フォークは俺を見ると口元を歪める。俺って何でこんなに嫌われてるんだろう。そんなに嫌な奴かね、どうも納得がいかない。世の中は不条理だ。

グリーンヒル参謀長は時折俺に意見を求めるが俺はその殆どをワイドボーンとヤンに振っている。俺は二人が答えた後に自分も同意見です、で終わりだ。大体あの二人の言う事は殆ど間違っていない、問題は無い。

一度ロボスが“貴官はいつも自分も同意見です、だな。自分の意見というものは無いのかね”と皮肉たっぷりに言ってきた。フォークは口元を歪めて笑っている。あんまり子供じみているんで思わずこっちも笑ったぜ。

“言うべき時が来たら言います。今は未だその時ではないようです”
俺がそう言ったら周りがシーンとした。ロボスは顔を強張らせているし、フォークは顔面蒼白だ。撤退進言は俺がしてやる、お前らに引導を渡してやるから安心しろ……。良く考えればそう言ったようなもんだ。余計な事をした。口は災いの元だな。

これからアイアースの会議室で将官会議が開かれる。俺は将官ではないが司令部参謀として参加が命じられている。気が重いよ、グリーンヒル参謀長は“宜しく頼むよ”と言ってきた。

何をどう宜しくするのか、グリーンヒル参謀長が何を期待しているのか想像はつくが、うんざりだ。あの駄法螺作戦の所為だな……。あれはラグナロック作戦のパクリなのだが、あれを同盟が実施できる可能性はまずない。不可能ではないのだが成功する見
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