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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十四話 口は災いの元
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もう面白そうな表情は見せていません。生真面目な表情をしています。そしてヤン大佐は顔を強張らせていました。
「……怖い男だ。常に私の一歩先を見ている。あの男が敵だったら……」
「止せ、奴は敵じゃない」
「分かっているよ、ワイドボーン。でもね、それでも私は怖いと思ってしまうんだ……」
「……」
嫌な沈黙が落ちました。ヤン大佐は表情を強張らせワイドボーン大佐は困ったような表情をしています。
「とにかく、お前が知りたがったことは話した。艦橋へ行くんだ、それとヴァレンシュタインは敵じゃない、忘れるなよ」
「ああ」
宇宙暦 794年 10月 17日 宇宙艦隊総旗艦 アイアース エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
艦橋のスクリーンにはイゼルローン要塞が映っている。九月初旬から十月初旬にかけてイゼルローン回廊の同盟側入り口付近で同盟軍と帝国軍は小規模な艦隊による執拗な戦闘を何度も連続して繰り返した。
俺に言わせれば何の意味が有るのかと言いたいのだが、両軍とも少しでも自軍を優位に導きたいと言う想いがある。戦闘で勝てば士気も上がる、相手の戦力を削ぐ事にもなる。お互いに必死だ。
俺は今艦橋に居る。一時的にという事ではない。例のイゼルローン要塞攻略作戦、俺に言わせれば壮大なる駄法螺作戦なのだが、それを聞いたグリーンヒル参謀長が妙に感動してしまって俺の席を艦橋に用意したのだ。
当然だが俺は拒否した。俺はニートでフリーなサロン生活が気に入っていたのだ。なんだって艦橋なんかに行かなきゃならん。大体そんな所に行ったらロボスとかフォークが嫌がるだろう。他人の嫌がる事はしちゃいかんのだ。
だが参謀長は強硬だった。どうしても艦橋に来いと言い張る。仕方が無いんでヤンとワイドボーン、それにサアヤが一緒ならと条件を付けた。なんと言ってもヤンは非常勤参謀だからな、それにサアヤは俺の付録だと思われている、ヤン以上に無理だ。それを理由に断わろうと思ったのだが、グリーンヒル参謀長殿は席を四つ用意した。
おまけに席の位置が凄い、参謀長の直ぐ傍だ。参謀たちに用意された席はロボスを中央にして二列用意されている。グリーンヒル参謀長の席はロボスから見て右側の一番手前の席だ。その隣に俺、ワイドボーン、ヤンと続く。流石にサアヤは末席だった。ちなみにフォークは反対側の席の真ん中辺りに座っている。
いいのかよ、これ。この席順って普通は階級順、或いは役職順だろう。それをまるっきり無視だ。この席順だと俺はグリーンヒル参謀長に次ぐ立場という事になる。おかしいだろう、それは。しかしワイドボーンに訊いてみても“問題ない”の一言だ。
アンドリュー・フォークの評判が良くない。ロボスの威光を借りて自分の思うようにやっているらしい。困った事はロボスがそれ
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