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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十四話 口は災いの元
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ロボス元帥も喜ばない、行かないほうが良いと思うがね」

「それは関係ない、ヴァレンシュタインは条件を出した、そしてグリーンヒル参謀長はその条件を満たした。それだけだ、さあ、準備をしろ」

ヤン大佐がまた溜息を吐きました。
「分かったよ、行けばいいんだろう。だがね、ワイドボーン。グリーンヒル参謀長とヴァレンシュタイン大佐は一体何を話したんだい。それを教えて欲しいな」

ヤン大佐の言葉にワイドボーン大佐は少し考え込みました。ヤン大佐と私の顔を交互に見ます。
「良いだろう、だが此処では話しにくいな。場所を変えよう」

大佐が私達を誘ったのはサロンでした。サロンには人が数人いましたがヴァレンシュタイン大佐の姿は見えません。ワイドボーン大佐に尋ねるとヴァレンシュタイン大佐は既に艦橋に向かったそうです。大佐は私達を人気のない所へと連れて行きました。

「ヴァレンシュタインとグリーンヒル参謀長が話した内容はイゼルローン要塞攻略についてだ」
「……」
思わず私はワイドボーン大佐の顔を見ました。ヴァレンシュタイン大佐が今回の要塞攻略について反対しているのは皆が知っています。それをまた話した? そしてグリーンヒル参謀長が高く評価した?

「勘違いするなよ、今回の攻略戦についてじゃない、ヴァレンシュタインならどう要塞を攻略するか? 以前俺が奴に出した宿題さ、その答えを聞いたんだ」
ワイドボーン大佐がちょっと笑いを含んだ様な声を出しました。私の勘違いを面白がっているようです。大佐も結構人が悪い、ヤン大佐やヴァレンシュタイン大佐の事は言えないと思います。

「面白いね、彼は何て答えたんだい」
ヤン大佐の声が変わりました。明らかに大佐は関心を持っています。
「十個艦隊を動員する」
「十個艦隊?」
私とヤン大佐は思わず声を上げていました。ワイドボーン大佐はそんな私達を面白そうに見ています。

「そう、十個艦隊だ。そのうち五個艦隊を使ってイゼルローン要塞を攻めると見せてフェザーンを攻略、帝国が慌ててフェザーンに軍を動かそうとした時に残りの五個艦隊でイゼルローン要塞を攻略する」
「!」

私は驚きで声が出ません。十個艦隊の動員だけでもびっくりなのにフェザーンを攻める? フェザーンは中立のはずです、それを攻める? そんな事許されるのでしょうか?

「上手くいけば同盟はイゼルローン要塞とフェザーンの両方を得ることができるだろう。そういうことだったな」
ワイドボーン大佐の言葉にヤン大佐は考え込んでいました。やはり大佐は反対なのでしょう、十個艦隊の動員と言い、フェザーンを攻める事と言い正気じゃ有りません。

「なるほど、十個艦隊を動員することで二正面作戦を可能とし帝国の眼とフェザーンの眼をイゼルローン要塞から逸らすということか」

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