第34話(改1.4)<山城の攻防>
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(あまり情が移ると厄介なのだろうか?)
兵士とはいえ艦娘だって感情はある。私は努めて冷静さを保つようにした。
爆音と共に衝撃波を伴った地響きが美保湾から断続的に響く。鎮守府の窓ガラスは幾度もビリビリと震え、指令室の受像機の画像が歪む。
弓ヶ浜全体に戦闘の黒煙が増え、かなりきな臭くなってきた。
地元自治体の警戒放送が何度も響く。墜落する敵機と上昇する味方機の音が交差する。
無線からは艦娘の叫びと怒号。警報と爆音が入り乱れ指令室も含め地域全体が戦場と化していた。艦娘も必死に一進一退を繰り返している。
ただ艦隊主軸である山城さんが心配だ。
(思い切って、強引に引くべきか?)
艦娘を指揮していて判断に迷う一番嫌な瞬間だ。それは二人の参謀も同じ気持ちだろう。
この間、私には長い時間に感じられた。
(何の因果で艦娘の指揮を執ることになったのやら)
……って今更、嘆いても始まらない。
業を煮やした私は思わず無線機に近寄って叫んだ。
「山城部隊の誰かっ、状況を報告しろ!」
『……』
無線機はガリガリという雑音を返すのみ。
「ゴホッ、ごほ」
やや年配の呉が咳き込む。とうとうこの鎮守府にまで黒煙が達したのだ。
「ココにまで硝煙が来ると言うことは、現地は激戦ですね」
若い神戸も身を屈める。
「状況把握どころではないか」
私も諦めかけた。
しかし次の瞬間。
「間に合いましたぁ!」
……という軽い声が響いた。
『斉射ぁ! ……ちょっとそこの駆逐艦、早くどけて!』
(えっと、この声は)
「伏せろって言ってもなぁ」
ハンケチで口元を押さえながら苦笑する呉。なるほど、艦娘の強引さを、よく分かっている。
『改めて、斉射ぁ!』
美保湾からは聞き覚えのある戦艦の砲声が響く。
「新手の艦娘ですか?」
神戸も聞く。
「この音は、あいつか?」
思い返すように私は美保湾を見渡した。
以下魔除け
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