暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
悪意こそ救いを求める
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ただ一つ!このアルヴヘイムに住む妖精全部を仲違いさせることなんだよォ!!」

「そうして、自分が信じてたあの世界に戻したかった」

「……っ」

ふんわりとした長髪を揺らめかせながら、ネモフィラは鈴の転がるような音で笑った。

「辛かったね。苦しかったね。ありがとうね、このゲームを面白くさせようとしてくれて」

「…………ッ!」

そして。

ケットシーの少女は。

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「頑張ったね」



「――――ッッ!!」

―――やめろ。

ロベリアはうずくまり、子供がイヤイヤをするように耳を覆う。

それは、その言葉だけは、今はかけるな。

歯を食い縛り、必死で胸の奥底で燃える昏い熾火を燃やそうとする。憎しみを、悔しさを、絶対に忘れないように。

ヴォルティスに邪魔されたが、完全な詰み(チェックメイト)ではない。時間はかかるが、再びサブアカウントを育て、またこの世界に狂乱と混乱を撒き散らしてやる。

脂汗を垂らしながら、余裕のない嗤いを顔に張り付けるロベリア。

だが。

「頑張ったよ、ロベリアちゃんはもう、じゅ〜〜ぶんに……頑張った」

縛った心が、ほどける。

盛る炎が、消えていく。

「やめッ……やめて!ぜんぶ、終わったことに――――!!」

「認めるよ」

ガチン、と。

ロベリアの身体が縫いとめられる。

戦神の白濁した《正義》ではない。真っ白でまっさらで、そしてちっぽけなただの《善意》によって、インプの少女の動きは完全に停止していた。

「他の誰が認めなくてもいい。蔑まれたって構わない。世界の全てがロベリアちゃんに背を向けても、私だけは手を取るよ」

ふわふわと、日向のような笑み。

その笑顔に救われてきた少女は、今日もまた――――救われた。

「だって、それが友達でしょ〜?」

限界だった。

都市伝説にして噂の結晶体。十存在(バルシア)の一角に名を連ねる、姿なき《非在存在(プロパガンダ)》ではない。

すくい上げられた手にすがるように、《ロベリア》は膝をついた。石畳の上にうずくまって、子供のように大声で泣いた。

次々に地面に零れ、弾ける涙の粒が、昇り始めた朝日の陽光に照らされ、混じり合い、溶けあうように消えていった。










二人の少女のその様子を見ていた、【神聖爵連盟】メンバーの一人、茶髪の少女、ストルは路地裏に体重を預けながら肩をすくめた。

非在存在(プロパガンダ)》の少女は、自身のアカウントが全て把握されていないと思っていたようだが、実はその判断は微妙に間違っていた。

ただしくは、確信だけがなかっただけだ。それによって、卿は博打を打っ
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