プロローグ
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トゥ・ザ・フューチャー』みたいだ。タイムスリップが、実現したんだ」
うーん、とタケルが腕を組んで考えていると、突然少女の顔に白い綿毛の様なモノが飛びついた。うわ、とタケルは驚きながらも、綿毛が生き物である事を知った。
小さな、犬とも、リスとも言えない不思議な生き物だ。ただとてもきめ細やかな体毛が生えていて、触ったら気持ちが良いであろう事は理解出来る。
「だ、大丈夫?」
「こちらのリスっぽい方はフォウさん。カルデアを自由に散歩する、特権動物です」
少女の言葉に応じる様に、フォウ、という鳴き声があがった。もしかしたら、鳴き声から少女が取った名前なのかもしれない。
と、少女の肩を踏み台にしてフォウはタケルの腕へと飛び乗り、そこから床に降りるとそのまま廊下を走っていく。
「あの様に、特に法則性もなく散歩しています」
広い廊下を小さな鶏ほどの大きさのフォウは歩いて行く。見た事もない存在にタケルは、
「不思議な生き物だね……」
と呟くのが精一杯だった。
「私以外にはあまり近寄らないんですが、貴方は気に入られた様ですね」
「へぇ……って、気に入られた?」
「おめでとうございます。貴方がカルデアで二人目のフォウさんのお世話係の誕生です」
「あ、ありがとうって言った方が良いのかな……」
得体の知れない生き物に気に入られる、と言うのも何だか複雑でタケルは苦笑いするのが精一杯だった。
と、そこでタケルはふと自分の目の前にいるこの少女の名前をまだ知らない事に気付き、手を差し伸べる。差し伸べられた手を、少女は不思議そうに見つめている。
「改めて、俺は天空寺タケル。どうしてマスター適性者じゃない俺がここにいるのかさっぱり分からないけど、よろしく。気軽にタケルって呼んで」
タケルが笑顔を浮かべると、少女も微笑み、手を握り返す。肌を通じて伝わる温もりに、タケルは自然と頷いていた。
「それで、君の名前は? さっきみたいに、名乗る程の者じゃない、なんて言わないよね?」
「え、私の名前、ですか?」
「俺も自己紹介したから、今度は君の番じゃないかな」
「私の名前は……」
「マシュ、マシュ・キリエライト。そこにいたのか」
うん? と少女の名前を呼ぶ声にタケルはその声の主を探す。廊下を緑のスーツを着た男性が歩いてくるところだった。穏やかな微笑を浮かべるその男性にタケルが誰だろうか、と考えていると、
「レフ教授」
男性の名前をマシュ・キリエライトが呼んだ。
「そろそろ、マスター適性者のブリーフィングが始まる。急いで管制室に」
レフと呼ばれた男性はこちらへ近付いてくると共に、タケルの姿を認め、眉を潜める。
「君は……」
レフが手首に付けている
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