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レーヴァティン
第三話 生きるか死ぬかその四

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「身体能力も剣術の腕も」
「全てな」
「やっぱりそうだよな」
「この世界では俺達の力は間違いなく上がっている」
 英雄は今度は断言した。
「そうなっている」
「それっていいことだよな」
「能力が上がること自体はな、しかしだ」
「ああ、能力が上がっているってことはな」
「何の理由もなくそうはならない」
「何かあるってことだな」
「どうせこの世界に俺達を放り込んだ誰かがだ」
 その誰かについてはだ、英雄もまだ察しがついてはいない。神か悪魔かまでも考えてはいない。
「俺達にそうした力を授けた」
「それで何かさせるつもりか」
「理由もなく力を与える奴はいない」
「だよな、やっぱり」
「俺達がここに来たのにも理由がある」
「間違いなくそうだな」
「そういうものだ、能力が高いことはいいことだが」
 彼等の世界にいた時と比べてだ。
「それだけで終わりの筈がない」
「やっぱりそうか」
「そしてだ」
「そして?」
「一体何をさせられるかだ」
 英雄はその目を鋭くさせて言った。
「俺達をこの世界に送り込んだ誰かがな」
「世界を救え、か」
「それになるだろう、ではだ」
「そうした意味でもな」
「まずは神殿に行ってだ」
「剣か刀を抜くか」
「それで若し抜ければだ」
 その時はというのだ。
「俺達は下に広がる海にいる魔神を倒し」
「それで海の中にある世界を出すか」
「そうすることになる、いいな」
「ああ、いいさ」
 笑ってだ、久志は英雄に答えた。
「正直いきなり何も言われずこんな世界に放り込まれたのは腹が立つけれどな」
「それでもだな」
「何かしないといけないのならな」
「やるしかないな」
「何もしないでブラブラ遊んでもいいんだけれどな」
「御前はそうした人間か」
「いや、こういうのは何か入ったらな」
 そうなったならばというのだ、今の様に。
「やらないとな」
「そうした考えか」
「俺はな」
「俺は違うがしかしだ」
「しかしか」
「その海の魔神とやらが気になる」
 刀剣を抜けばやがては戦うことになるこの神と、というのだ。
「その神を見てみたい」
「それでか」
「刀剣にもこの世界にも興味が出て来た」
「そうか?」
「そうだが」
「あまりそうは見えないけれどな」
 久志は横を歩く英雄の顔を見た、見れば正面を向いたままで表情は相変わらずない。まるで面白くも楽しくもない様に見える。
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