暁 〜小説投稿サイト〜
先恋
先恋〜やっぱり〜
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
静かな時間、みんなが黙る。陸太と七瀬を大袈裟に首を振り交互に見ている者もいる。何より、七瀬と陸太の間には長く、より深い沈黙。
「美男美女カップル!」
「ヒュ〜ヒュ〜!」
静かだと思うのも束の間、周りは一気に囃し立てる。
「…ちょ、誤解…」
「あんたも中々だね」
「…え?」
「突然そんなこと言うなんて、この学校初登校なのに、驚いたよ」
「ず、瑞木さん!ま…っ!」

「なー、なー!二人は付き合うんだろ??お似合いだもんな??」
誤解を解こうとするも、周りのせいで言葉すら発せない。
「ちっ、ちょっと待って??瑞木さんって言うのは……っ??」
そこで気付く。此処で教師だとばらして仕舞えば、自分が教師と“そう言う関係”だった事がばれてしまう。そうなれば、必ず、少し位は問題になってしまうだろう。
「…い、いや、何でもない…」
何も言えなくなり、黙り込む陸太を、七瀬は静かに見つめていた______。




〜昼休憩〜

「…春先」
「え?」
顔を上げると、隣に七瀬が立っていた。
「…ちょっと…来てくんない?話あるから」
「……あ、うん…、」



二人は、人が殆ど来ない屋上に行く。
「……座んないの?」
「…あ、えっと、失礼します…」
七瀬が座っているベンチに、七瀬から少し距離をとり、座る。
「…………」
「…………」
長い沈黙が走る。言葉を発しても良いものか…、陸太は俯いたまま、微動だにしない。

「あんたさ…」
七瀬が喋る。
「え?」
「…何であんな嘘ついたの?」
「…何が?」
「分かるに決まってんじゃん、馬鹿なの?あんなボーッとした顔されて…、私が悪いみたいじゃん、」
「……??」
何も分かっていないと言わんばかりの顔をする陸太を見て、七瀬は溜息をつく。

「あんたは!他に!好きな人が!いるんでしょ??って聞いてんの??」

耳元で叫ばれ、陸太は両眼見開く。
「え…、何でそんな事…」
「さっき、私が“瑞木”って名前だって知って、あんた…凄い驚いてたでしょ?それって、好きな人の名前と同じだったからじゃないの?まぁ、急に名前で呼ぶんだ…何て言った私にも非はあると思うけどさ…。」
頭を掻く七瀬を見て、陸太もゆっくりと口を開く。
「…実は…僕…」


「あぁぁっ??陸太と瑞木が屋上でデートしてるぞー????」
陸太は急いで声のほうを見る。七瀬も同じく、見る。
「おいおい!教室じゃ出来ないからってイチャイチャしてんなよー??」
何人か、人が集まってくる。
「ちょっ、待って!」
陸太が黙らせようとするも、周りは黙らない。ふと、七瀬を見ると、怒っているのか何なのか、俯いて震えている。
「ず、瑞木さん…!」
陸太は、七瀬の手を握り、走り出した。
「あっ
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ