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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十一話 作戦計画書
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站統括部の新米士官が何でそんなに詳しいの?

「ミサイル艇での攻撃は上手く行くかもしれません。しかし要塞内部の占拠は難しいと思いますよ」
「?」
またヴァレンシュタイン大佐が妙な事を言い出しました。

「イゼルローン要塞にはオフレッサー上級大将が来るはずです」
「オフレッサー!」
「あのミンチメーカーが? 冗談は止めてくれ」
二人の大佐がうんざりしたように声を上げました。私も内心うんざりです。

オフレッサー上級大将、帝国軍装甲擲弾兵総監、帝国の陸戦部隊の第一人者です。身長二メートル、三次元的な骨格を有する宇宙最強の野蛮人……、白兵戦、つまり肉弾戦で人を殺すことで帝国軍の最高幹部になった人です。どうして帝国って人間離れした人が多いんだろう、遺伝子操作とかしてるとか……。

「冗談じゃ有りません。オフレッサー上級大将とミュッケンベルガー元帥は比較的親しいんです。一つにはオフレッサーは地上戦の専門家ですからミュッケンベルガー元帥にとって競争相手にはならない。一緒に仕事がし易いんですよ」
「……」

「攻める事は向こうに任せてこっちは撤退の事を考えたほうが良いと思いますよ。多分落ちないでしょうから……」
げんなりしました。相変わらずの根性悪です。今から負けたときの準備だなんて……。

以前、ヴァレンシュタイン大佐が言った言葉を思い出しました。
“イゼルローン要塞攻略のカギを握るのは同盟では有りません、帝国でしょう”
確かにカギは帝国が握っているようです。

大佐は同盟軍の力では落ちないと見ています。落ちるとすれば帝国側の失敗があったときなのでしょう。気が重い戦いになりそうです……。



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