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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十一話 作戦計画書
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隻程度でしょう。それでは気付いても脅威にはならない……」
「……」

「それに彼は周囲から孤立しています。彼の意見を上層部が簡単に受け入れるとは思えません。また周囲が彼に協力するとも思えない。油断は出来ませんが脅威は小さいでしょう……。それに今回の戦いに参加するかどうか……」

ヤン大佐とワイドボーン大佐が顔を見合わせました。今度はワイドボーン大佐が問いかけてきました。
「他に気付きそうな人物は?」
「……メルカッツ提督、かな。彼なら気付いてもおかしくない」

ヴァレンシュタイン大佐の言葉にワイドボーン大佐とヤン大佐がまた顔を見合わせました。そして躊躇いがちにワイドボーン大佐が口を開きました。
「メルカッツ提督か……。派手さは無いが堅実で隙の無い用兵をすると聞いている。ヤン、気付くかな?」
「ヴァレンシュタイン大佐の言う通り、気付いてもおかしくは無いだろうね」

ワイドボーン大佐が溜息を吐きました。
「まあ、俺が立てた作戦じゃないからな……、俺が落ち込んでもしょうがないんだが……」
その気持、とってもよく分かります。私だって落ち込んでいる。落ち込んでいないのは根性悪の大佐だけです。大きな声では言えないけれど、きっと先の尖った黒い尻尾が付いてるんです……。

「メルカッツ提督がイゼルローン要塞に来るとは限りません」
「?」
ワイドボーン大佐とヤン大佐が顔を見合わせています。根性悪の大佐は独り言を呟くように話を続けました。

「メルカッツ提督は軍上層部の受けが必ずしも良く有りません。特にミュッケンベルガー元帥との関係は良くない。用兵家としてはメルカッツ提督のほうが上だという評価が有りますからね。ミュッケンベルガー元帥が彼をイゼルローンに呼ぶかどうか……」
「……」

「彼の働きで勝つような事があるとミュッケンベルガー元帥の地位は益々低下しかねない。場合によっては地位を奪われる事もある」
「しかしミュッケンベルガー元帥にとっては今回の戦いは正念場のはずだ。多少の事には眼をつぶるんじゃないか?」

ヴァレンシュタイン大佐が薄っすらと笑みを浮かべました。拙いです、悪魔モード全開です。
「そうとも言えませんよ、ワイドボーン大佐。要塞攻防戦は圧倒的に守備側が優位なんです。メルカッツ提督の力など必要ない、そう思っても不思議じゃありません」

ワイドボーン大佐とヤン大佐がまた顔を見合わせました。これで何度目でしょう、一回、二回……、四回? 今日は顔を見合わせてばかりです。二人ともどう判断すべきか困っているのかもしれません。それよりどう考えても不思議です。どうしてヴァレンシュタイン大佐はそんなに帝国軍の内情に詳しいのか……。

帝国に居たからだけではないと思います。軍上層部の事とか人間関係とかどう考えても変です。兵
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