暁 〜小説投稿サイト〜
亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十一話 作戦計画書
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
われましたが、その地獄というのが戦争にどういう影響を与えるのかが分からなかったのです。作戦計画書にもその辺りを書いてくれればもっと分かり易いのに……。

「上手く行けば、こじ開けた穴に強襲揚陸艦を付け陸戦隊を送り込む。要塞内部を制圧しようという訳だが……」
「当然帝国軍が許すわけがない。彼らは慌ててミサイル艇と強襲揚陸艦を排除しようと艦隊を動かすはずだ。その艦隊をミサイル艇と主力部隊で挟撃できれば面白い事になる、そうだろう、ヤン」

凄いです、ようやく私にも分かってきました。もしかすると、本当にイゼルローン要塞を落とす事が出来るかもしれません。私は疑問を解いてくれたヤン大佐とワイドボーン大佐を感動して見ていました。

そしてヴァレンシュタイン大佐は……、相変わらず無関心、やる気ゼロです。何考えてるんだろう、こんな凄い作戦を聞いても感動しないなんて、不貞腐れているのでしょうか? いい加減にして欲しいと思います。

「ヴァレンシュタイン大佐、貴官はどう思う?」
ヤン大佐がちょっと躊躇いがちに声をかけました。ヴァレンシュタイン大佐はまだ一言も意見を述べていません。大体作戦計画書だって真面目に読んだのかも怪しいです。適当に答えて終わりにするつもりでしょう。聞くだけ無駄です。

ヴァレンシュタイン大佐が私を見て薄っすらと笑みを浮かべました! 怖いです、この笑みを大佐が浮かべると大体において碌な事が有りません。
“お前が何を考えたか、分かっているぞ”
とでも言っているようです。謝ります、私が間違ってました。だから笑うのは止めてください。

「ミハマ大尉、スクリーンにイゼルローン要塞を映してもらえますか」
「は、はい」
この部屋の正面には会議用の大スクリーンがあります。私は慌ててスクリーンを操作してイゼルローン要塞を映しました。五分くらいかかったと思います。手に汗がびっしょりです。

スクリーンにイゼルローン要塞が映るとヴァレンシュタイン大佐はスクリーンに向かいました。そしてスクリーンに付いている指示棒を手に取るとスクリーンのある部分を指しました。イゼルローン要塞の正面です。

「要塞主砲(トール・ハンマー)の射程範囲外ぎりぎりのラインに同盟軍艦艇が展開。帝国軍艦艇は同盟軍を要塞主砲(トール・ハンマー)の射程範囲内に引きずり込もうと同盟軍を挑発……」
「……」
部屋にヴァレンシュタイン大佐の声が流れます。ワイドボーン大佐もヤン大佐も難しい顔をしています。指示棒が別の場所を指し示しました。

「要塞主砲(トール・ハンマー)の死角からミサイル艇による攻撃、悪くありません。ミサイル艇は三千から四千隻程度でしょう。それ以上では帝国軍の注意を引く」
悪くありません? 脅かさないでください、もったいぶって!

「しかし、私なら
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ