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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十一話 作戦計画書
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がどう思った?」
「悪くないね」
「悪くないか」
ヤン大佐が頷きました。
悪くない? そうでしょうか? 私には良く分かりません。ミサイルでイゼルローン要塞に穴を開けるなど簡単に出来るのか? 帝国軍がそれをやすやすと許すのか? ちょっと質問したいと思いましたが、気が引けました。
なんと言ってもこの部屋に居るのはヴァンフリートの英雄、エル・ファシルの英雄と士官学校で十年に一人の秀才と言われた人物達です。お馬鹿な質問をしたら笑われるでしょう。もっともヴァンフリートの英雄は今ひとつやる気が見えませんが……。
「ミハマ大尉、納得がいかないという顔をしているな」
「あ、それは……」
「構わんよ、疑問があるなら言うと良い」
ワイドボーン大佐が質問を促がします。私なんかが話して良いのかどうか、迷いましたが思い切って聞きました。
「総司令部は艦隊主力を囮にしようとしているんですよね」
「うむ、そうなるな」
ワイドボーン大佐が答えてくれます。そしてヴァレンシュタイン大佐は無言のままです。話を聞いているのかどうか……。
「そんな簡単に帝国軍がこちらの思い通りに引っかかるんでしょうか? よく分からないんですが……」
ワイドボーン大佐とヤン大佐が顔を見合わせました。ヤン大佐が一つ頷いて話しを始めました。
「イゼルローン要塞攻略の鍵は要塞主砲(トール・ハンマー)を使用させない事、或いは無力化する事、この二点をどうやって実現するかだった。第五次イゼルローン要塞攻防戦で行なわれた並行追撃作戦もそこから来ている」
ヤン大佐の言葉にワイドボーン大佐が頷いています。
「あの作戦は帝国軍の味方殺しの前に潰えたが、あれは同盟だけじゃない、帝国にとっても悪夢だっただろう。二度と繰り返したくは無いはずだ……」
「うむ」
私もあの戦いの事は聞いています。もう少しでイゼルローン要塞に攻め込める、そう思ったときに帝国軍は要塞主砲(トール・ハンマー)、で味方の帝国軍艦艇ごと同盟軍を吹き飛ばしたのです。同盟軍は余りの凄惨さに攻撃を断念したと言われています。
「当然だが今回同盟軍が攻め寄せれば帝国軍はイゼルローン要塞のメイン・ポートの正面に配置されたこちらの主力艦隊の動向に注目する、並行追撃作戦を恐れてね。その分だけミサイル艇に対する帝国の注意は薄れるだろう。相手の恐怖心を煽る事で他への注意を逸らす、狙いとしては悪くないのさ……」
なるほど、と思いました。私はイゼルローン要塞攻防戦には参加した事が有りませんし、実戦経験も少ないです。おまけに戦いはいつも勝ち戦で酷い経験をした事が有りません。
ですから並行追撃作戦に、味方殺しに対して帝国軍がどんな感情を持っているのか、今ひとつ分かりませんでした。ヴァレンシュタイン大佐から地獄だと言
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