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真田十勇士
巻ノ八十四 高野山その八

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「伊賀者が周りにおるか」
「幕府に仕えている」
「あの忍の者達ですか」
「そうじゃ、そして伊賀の中でも手練の者達がな」
 まさにというのだ。
「常に我等を見ておる」
「だからですな」
「伊賀者達に見付からぬ様にですな」
「気をつけて天下に出る」
「真田の忍道を使う」
「この道は誰も知らぬ」
 それこそだ、真田家の者達以外にはというのだ。
「父上と兄上、拙者にじゃ」
「我等ですな」
「我等だけがですな」
「真田の忍道を知っている」
「伊賀者さえも知らぬ」
「そうした道ですな」
「その道を使ってじゃ」
 そしてというのだ。
「通るのじゃ、よいな」
「わかり申した」
「ではこれからもです」
「あの道を使って天下に出ます」
「江戸にも向かいます」
「他の国にも」
「そうせよ、流石に拙者は出られぬ」
 幸村はこのことは歯噛みして述べた。
「父上と拙者はな」
「影武者を使われては」
 筧がここで言った。
「そうされては」
「ふむ、影武者を使えば」 
 海野は筧のその言葉に頷いた。そのうえで言った。
「殿もな」
「我等は忍、変装もお手のものじゃ」
 望月も言う。
「ならばな」
「殿が出られる時は我等の誰かが殿に化ける」 
 由利は実際に瞬時に変装して顔だけ幸村になってみせた。それは本人を前にして鏡合わせの様であった。
「こうしてな」
「よし、こうすればな」
 清海も変装したが彼も幸村そっくりであった。
「よいな」
「いい考えじゃ」
 穴山は笑って述べた。
「流石十蔵、我等の知恵袋じゃ」
「では殿もじゃな」
 根津の言葉は確かなものだった。
「天下に出られるな」
「殿も変装が出来るし」
 霧隠はこのことを指摘した、幸村自身十勇士に負けぬ忍の腕を備えておりそうしたことも得意としているのだ。
「ならば」
「はい、よいお考えです」 
 伊佐は霧隠のその言葉に頷いた。
「では我等も殿も変装して」
「よし、天下を見て回るか」 
 最後に猿飛が笑って言った。
「我等十一人それぞれで」
「ふむ、そうじゃな」
 幸村も十勇士達の言葉を聞き考える顔で述べた。
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