暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
袋叩きはドラム缶の中で
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少女は血を吐くように言葉を絞り出した。
「な、に……?」
「おかしいとは思わなかったか?違和感は感じなかったか?ケットシーは今回、がんじがらめにされるよう情報攻撃をされていた。それはひとえに、
竜騎士
(
ドラグーン
)
・
狼騎士
(
フェンリル
)
の二軍を下手に動かせない状況を作りだすためだ」
かねてからの、一般プレイヤーからの不平等の不満。
そして、そこに来て二つの軍を動かさなければならないようないざこざの多発。
本来であれば、ケットシー側はいくらスプリガンが犯人と目星がついたからと言って、容易に出動させたりはしなかったはずだ。
その訳。
その理由。
「まさ……か……」
「
火妖精領主
(
モーティマー
)
はこう言ったらしいぞ?お前らのバカ騒ぎの尻ぬぐいくらいは引き受けてやる。だからとっととこのボヤが山火事にならないうちに止めて来い、とな」
ガラガラと、足元が崩れ落ちるような言葉だった。
吐瀉物を撒き散らすかと思った。
「ぐっ、ばっ!!げっは!ぎぃははッ!ぎゃはあははあはぎひあひあひあははあはあははあはあはああああああああああああああああああああああっっっっっっッッッ!!!!!!!」
少女は思った。
この
世界
(
ゲーム
)
はもう、本当の意味で終わっている。
「何だそりゃ??なァんだァァああああそりゃああああああああああああ!!!!???」
じゃあ何か?
サラマンダーは、かつての王者は屈したのか?
この腐りきったぬるま湯の平和に。
《
非在存在
(
プロパガンダ
)
》は、真正面をねめつける。巨岩の如く不動の体勢で屹立する大男を、睨みつける。
「返せよ」
地獄の底から響いてくるような、ドロドロした怨嗟の声だった。
「テメェら《
生還者
(
サバイバー
)
》が全て捻じ曲げたんだ!!あの地獄とこのALOは違う!あそこから帰ってきたからって、ここまでお前らの定義で塗り替えるんじゃねぇよ!!!!」
会話を飛ばした、支離滅裂な言葉。
彼女が何を主眼に置いているのか、咄嗟に計りかねた金髪のスプリガンは眉を顰める。
だが、白銀の鎧を纏う偉丈夫は違った。
ニット帽少女の言葉を、叫びを、嘆きを聞いて、静かに目を伏せた。無論、彼自身少女の本心は分からない。
だが、分からないなリに少し考えてみた。
彼女が何を言いたいのか、何を訴えたいのか。
《戦神》は、その上で口を開いた。
「だからどうした?」
「…………ッ!」
《白銀の戦神》ヴォルティス・ヴァルナ・イーゼンハイムは、獰猛な黄金の瞳を月光に反射させながら静かに言葉を紡ぐ。
「個人に個人の《正義》があるのは当然だ。強盗に遭った。ただそれだけなら犯人が《悪》だろう。
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