暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
袋叩きはドラム缶の中で
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しかありえないだろう?」

ぐっ、と。

少女の手袋が軋む。

着実に、そして確実に袋小路に追い詰められつつある自覚を胸に宿しながら、ロベリアは口を開く。

「それがどうした」

ネコミミ付きのニット帽を被るケットシーの少女は、引き裂くように叫んだ。

「テメェらが示したのは可能性だ!!それだけの引っかかりで、無限に増殖する病原菌みてぇなオレ様をどうにかできるとでも思っているのか―――!!?」

「卿ももう気付いているだろう?そもそも、証拠などいらない。我らは、抱いた《懸念》を運営体(ユーミル)に報告するだけで良い。卿の本質が誰かに勘付かれた時点で、もうどうしようもなくチェックメイトだったのだよ。卿の言う『可能性』、それが日の目を浴びた時点で、な」

「づッッ……っ!!」

「考えられる『可能性』は色々だ。鉱石の無限湧きバグ、アイテムトレードの際の複製バグ……あぁ、Mobから受けるダメージがなくなる安置バグや、逆に反撃がこなくなるハメ殺しなどもあったな。ここの辺りは、我には理解しがたいのだが。そこらを徘徊しているモンスターなど、小突いたら死ぬだろう?」

弱者の事など考えたこともない強者の口調で首を振り、ヴォルティスは続ける。

「……だが、さすがに我も現鍛冶妖精(レプラコーン)領主も射程圏内に入っているとは思っていなかったぞ。さすがに、捜査線上に上がった時は驚いた」

偉丈夫は言外に告げる。

数ある中でも別格の地位を持つ一つのアカウント。

これがお前の《本体》だろう?と。

突き付ける。

「繰り返し言おうか、卿よ。これは、チェックメイトだ。日本のショーギでいう王手とは違う。勝者が敗者に対し、これ以上あがけないように言う宣言であり、宣告であり、勝利報告だ。ここから卿が逃れるようなルートはそもそも存在しえない。運営体が大本のアドレスを特定し、そこを経由してアクセスしている全アカウントを永久凍結すれば――――」

ゲームイズオーバーだ。

流れるようなその言葉を、ロベリアは断頭台に立たされた死刑囚のような気分で聞いていた。

痺れた頭は正常な反応を返さない。針の跳んだレコードのようなブツ切りの断片しか浮かばない。

瞳の瞳孔を痙攣するように拡縮させる少女を前に、しかし巌のような筋肉漢はまるで動じなかった。二メートルを超す偉丈夫は、肩を震わせる少女をどこかつまらなそうに見下ろし、適当な調子で「ああそうだ」と言った。

「我らに今回、貴様の正体を暴くことを依頼したのは、火妖精(サラマンダー)だ」

少女の中の、時が止まった。

冗談抜きで、ロベリアは一瞬、自分の拍動が止まったと確信した。肺が収斂し、酸素が血液中を流れない。貧血じみた眩暈と吐き気が押し寄せる中、ニット帽
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