暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
one for one
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LOの長い歴史の中で、時折都市伝説のように囁かれる一人のプレイヤーの通称だ。

通常、存在と名の付くのはSAOの六王に対応したような、ALOの力の象徴たる十人のプレイヤー、十存在(バルシア)だが、幾度となく変遷を迎えたその席の中で唯一、不動の存在でとびっきりの異端がいる。それが非在存在。

あらゆる大事件、大騒動を常に影から先導し、扇動していた影の主役であり、真の黒幕。

陰謀説と切り捨てるには、あまりにも輪郭がはっきりしたその噂は独り歩きし、実力もよく分からないのに十存在の一角に名を連ねるまで至った異端者。

形のない情報の塊。

人の恐れの結晶体。

「そう思っていた。そう考えていた。だが、それにしてはあまりにも流布されている話が噂の域を超えていてな」

都市伝説に限らず、噂話の大半が胡散臭いのは、友達から聞いたとか友達の友達がねとか、実体験を伴わない空虚でふわふわした内容が大多数を占めるからだ。

経験がない話は軽い。それは食事の席での笑い話には最適だろうが、積極的に人に押し付けるべき話ではないだろう。

だが、ソレは伝説というにはあまりにも新鮮で、噂と切り捨てるにはあまりにも生々しかった。

「深い所まで潜ったらすぐにヒットしたぞ。貴様の実態は、大量にストックされたサブアカウントを使いこなす扇動者(アジテーター)の類だろう。各領の中枢まで食い込んでいる他のアカウントの名を利用し、更に他の種族の政治部分に感染していく手法だ。そうして後戻りできないほどに汚染した後、点火の火種を灯し、暴れるだけ暴れて、アシが付く可能性があるそのアカウントは切り捨てる。違うか?」

「ぎひあはっ☆小学校のテストの答え合わせじゃねェんだ。いちいちチェックシート埋めていかなくてもいいんだぜ?」

片目を瞑りながら、ロベリアは肩をすくめる。

「まぁ、だいたいはそんな感じだ。実際は結構苦労することもあるがな?中枢に位置するアカウントが多くなってくると、インしてない間にビッグな情報を取り逃がしたりすることもあったしぃ♪例えば、火妖精(サラマンダー)風妖精(シルフ)猫妖精(ケットシー)襲撃事件?あん時ぁ、別のアカウント操って帰ってきたらもうオイシイとこ全部決まってるでやんの。あー今思い出してもムシャクシャする、ユージーンの野郎。ま、その後《終焉存在(マルディアグラ)》にボコされたらしいけど☆ぷっくく、傑作!」

そこで、ヴォルティス卿の傍に控えるツンツン頭の金髪スプリガンは気付いた。

少女の小柄な身体から、緊張というものが消えている。

決して、口が回ることによって身体がほぐれたという訳ではない。どちらかといえば、どうでもいいやと諦めたような、そんな諦観に似た感情から来ているように見える。

「まー、サラマンダ
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