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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十話 マルコム・ワイドボーン
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んだい、ワイドボーン、その箱は?」
「荷物だ、今日からおれも席はこっちになった」
「はあ?」

ヤン大佐とワイドボーン大佐が話しています。でも意味が良く分かりません。ヴァレンシュタイン大佐も眉を寄せてワイドボーン大佐を見ています。

「ロボス元帥は俺がちょくちょくこっちに来ている事が気に入らないらしい。そんなに気になるのなら向こうに行ってはどうかと言われた」
「それで」

「分かりました、行かせて貰います。そう言ったよ」
ワイドボーン大佐が胸を張りました。ヤン大佐は呆れたような顔を、ヴァレンシュタイン大佐は口をへの字に曲げました。

「まあ、向こうに居るよりこっちのほうが楽しそうだしな」
「楽しそうって、貴官はヴァレンシュタイン大佐に相手にされていないだろう」
呆れたようにヤン大佐が言っています。私も全く同感です。

「本当は俺と仲良くしたいんだ、ツンデレなのさ。そうだろう、ヴァレンシュタイン大佐?」
「……自信過剰と馬鹿は同義語だ……」
「まあそういうわけだ、よろしく頼む」

変な人です、ヴァレンシュタイン大佐もヤン大佐も呆れたような表情をしています。士官学校を首席で卒業、十年来の秀才って本当でしょうか? ヴァレンシュタイン大佐の言うとおり、全く空気の読めない人です。たとえ将来性は有望でも絶対彼氏にはしたくない、マルコム・ワイドボーン大佐はそんなタイプの男性でした……。




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