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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン69 封印の神と『D』
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せいで傷つき倒れ、そして消えていったたくさんの人や精霊たち。
 何か止めてくるかと思ったけど、意外にもそんなことは一言も言わなかった。どれだけの気持ちでこんなことを言ってるのか、察してくれたのかもしれない。

「悪いな。本当は、俺もついていきたいところだが……」
「十代の方も、なにかしらケアが必要だろうしね。それに翔も、あれなんか憑いてるみたいだし……こっちこそ悪いね、厄介ごと全部押し付けてるみたいで」

 そう言うと、ヘルカイザーが微苦笑を漏らす。その表情は、久しぶりに見るヘル化する前のカイザーに近いものだった。

「そんなことを気にしていたのか。あいつらには、俺の方から上手く伝えておく。十代の奴も、もう少し様子を見てから俺の命に代えても叩き直してやろう。翔には……どうだろうな。もうゆっくり話し合うだけの時間が俺にはない、せいぜい俺の最後の生き様を見せつけてやれるぐらいだ」
「最後の……?それに今、命に代えてもって……」
「清明。俺がアカデミアを卒業する際、なぜお前を卒業デュエルの相手に指名したか、まだ話したことはなかったな」
「ああ、そうだね。確か、僕が勝ったら教えてくれるんだっけ?」

 露骨に話を逸らしに来たことには気づいたが、ここで話を逸らすということがどういう意味かを分からないほど僕は馬鹿じゃない。だからあえて、ヘルカイザーの話に付き合うことにした。
 忘れない、忘れられるわけがない、目の前の男と僕の卒業デュエル。突然レッド寮にやってきて僕のことを指名し、僕が勝てばその理由を教えてやると言うだけ言って去っていったアカデミアの皇帝。その後の結果は僕の負けだったから、結局そのちゃんとした理由は聞かずじまいだったのだ。

「お前には自覚はないだろうが、不思議な力がある。十代が皆を照らし良くも悪くも影響を与える太陽のような男だとすれば、お前はさながら天の川だ。太陽のように自分から何かしているわけではないのに、不思議と他の存在を引き付ける。流れ星のごとく燃え盛り空を翔けるわけでもなく、月のごとく1歩退いた位置から皆を照らすわけでもなく。ただそこに自由にいるだけでなぜか周りを巻き込んでいく、宇宙(そら)の鉄砲水だ。一度お前のことを見つけた者の記憶には必ずお前の印象が残り、もう一度見ることができれば不思議な温かさが皆を包む。かくいう俺も、その十代とはまた違った魅力に惹かれてな。それが、あえて十代ではなくお前を……遊野清明を、あの時選んだ理由だ」

 僕にはよくわからない。だけど、ヘルカイザーが言うならきっとそうなのだろう。

「少し買いかぶりすぎな気もするけどね」
「自覚はないだろうな。その方がお前らしい。さあ行け、清明。お前は自分の選ぶ通りに、常に自由な存在であることが一番性に合っている。そのお前が決めたのなら、こ
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