アインクラッド編
食事と回想
[7/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るときに問題が生じた。
〈フルダイブ〉システムが使われているので,本当に生身の自分が男と話しているように感じてしまうのだ。
とてもではないが,上手くやっていける自身がなかった。
そんなキリトに名案が浮かぶ。
ネカマといって,男性が性別を偽って女性プレイヤーをすることがある。
それなら女性が男性プレイヤーをしても問題ないではないか。
和葉は今までの女性プレイヤー名〈キリカ〉から〈キリト〉へと変更し、男性プレイヤーとしてソードアートオンラインの世界へと足を踏み入れた。
和葉はログインしてすぐに始まりの街で1人の男性プレイヤー、クラインと出会った。
男性プレイヤーなのに不思議とうち解けやすい雰囲気を醸し出す男だった。
和葉はニュービーのクラインと共にフィールドに出て、軽くレクチャーをしてやり,
軽口をたたき合いながら、雑魚モンスターに苦戦するクラインを見て、笑い,フレンド登録をし、再開を誓って拳を打ち合わせた。
そこまでの数時間が和葉にとって〈ソードアートオンライン〉が楽しい時間だった。
和葉にとってデスゲームとなったことも十分に恐ろしいことだが、〈手鏡〉の存在はそれと同等の絶望を与えた。
あの時のクラインの顎が外れたようなびっくり仰天顔は忘れることがないだろう。
あの場で女性用装備を着た男子は百人以上いたが、男装備の女性はおそらく和葉1人だっただろう。
和葉は戦うことを選んだ。
和葉も女の子だ。いくらネットゲーム歴が長く、ベータテスターとしての経験と知識があるといっても、死ぬことは怖く、街の片隅でうずくまっていたい、と何度も思った。
だが、和葉にとって女性である自分が弱い立場になることのほうが怖かった。
ネットゲーマのなかには、女性プレイヤーを執拗に殺そうとしたり、嫌がらせを行うプレイヤーが少なからずいた。
ハラスメント行為をされれば、黒鉄宮に投獄することができるといっても、システムの抜け道を使ったり、命を奪うと脅せばなんでもできる。
自分の身は自分で守れるくらいのステータスとレベルは手に入れたい。
その一心で和葉は今日まで過酷なレベリングに身を投じてきた。
限られたリソースの奪い合いを勝ち抜くために直ぐに次の街へと向かおうとした。
その時にクラインを見捨てて1人で飛び出してきたことは、和葉にいまだ罪悪感を覚えさせる。
いくら人当たりの良く信用のできると思われるクラインでも、アバターの容姿がリアルの容姿と完全に同一の物に変えられた以上、和葉には一緒に旅に出ることは難しかった。
更にクラインは他のゲームで知り合った仲間が数人いると言い,その全員を安全に次の街まで連れて行ける余裕は和葉にはなかった。
別れ際に、
「キリト!!可愛い顔してる女の子なんだから無茶するなよ!!」
と背中に掛けら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ