アインクラッド編
食事と回想
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た。
しだいに学校の友達や直葉との距離感を掴むことが難しくなっていた。
この人の本当はどこにあるんだろう?
誰と接するときもそう考えずにはいられなかった。
そんな和葉にとってネットゲームの世界はとても安心できるものだった。
なぜならネットゲームの中なら自分を偽ることが前提であるからだ。
アバターの見た目や口調、態度。人によっては性別すら変えている。
その人の本当があるかどうかを気にしなくて良いことは和葉にとって気が楽だった。
和葉にとって〈ソードアートオンライン〉との出会いは感動的だった。
仮想世界の中を剣一本でどこまでも進んでいける。和葉がずっと望んでやまなかったような世界だ。
〈ソードアートオンライン〉を作り上げた茅場昭彦の評論や論文が載っている情報誌は全て購入し、暗記するほど読み込んだ。
1000人限定のベータテストプレイヤー募集にも見事当選し、学校の授業中も先生の話そっちのけでスキル構成を考えて、帰ってからも夕飯を食べたりお風呂に入る時間以外寝るまでずっとプレイし続けた。
2ヶ月間のベータテスト期間後に自身のアバターのデータが失われたときは、目が潤みそうになったほどだ。
そしてベータテスト期間終了後、正式版が開始された2022年11月6日、日曜日の正午。
デスゲームとなるなどと微塵も予想しないまま、和葉はソードアートオンラインの世界へと男性プレイヤー〈キリト〉として再度降り立った。
他人との関わり方が分からなくなっていた和葉だが、それは男性に対してより色濃く影響を及ぼした。
ぶっちゃけ何を考えているか,まったくもって分からない。
家でも女性3人で過ごしているせいか、和葉は男性と交流する機会が皆無だった。
加えて、和葉が住基ネットにハッキングした10歳といえば、男女がお互いの性別の差を意識し始める時期である。一般的に言えば思春期に入ろうとする時期。
和葉は(本人はまったく自覚していなかったが)整った容姿に加え、大人しい雰囲気で、男子からの人気はかなり高かった。
和葉は学校のクラスの男子が自分へと向ける目に,感情に,恐怖を感じてしまった。
それ以来中学校2年生となる今までの3年間、ろくに男子と会話をした覚えはない。
何度か知りもしない男子から告白をされることがあったが、二の句も告げず「ごめんなさい!!」+全力ダッシュ逃避である。
会話もろくにできないのに付き合うなど論外であるのだ。
それはネットゲームの世界でも当てはまることであった。
ネットゲームーなんて大半は男であるし,画面越しの対話なので流石に話せないほどではないが,自分へと向けられる好意に嬉しいという感情が芽生えることはなかった。
しかし,ゲームの中,と割り切ることができていた。
だが,〈ソードアートオンライン〉にログインす
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