第十一話「狙われた一夏」
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……もしかして、貴方は『袖付き』部隊の人なんですか!?」
一夏は、目を輝かした。「袖付き」、それは連邦軍から呼ばれている仇名であり、その部隊の建員らの制服にはそれを象徴させる特徴的な袖がある。これは「結束」という意味を現しているが、部隊の人間からしてその仇名は余り好きではないのであった。無論、マリーダも表情を曇らせてしまうありさまだ。
「すまないが……あまりその名で呼ぶのは慎んでもらえないか?」
「あ、すみません……生の隊員にあえてつい嬉しくなって」
今や、袖付きはジオン屈指の先鋭特務部隊として海外からも憧れの目を向けられているという。
「悪気がないことはわかっている。次からは、特務部隊と呼んでくれ?」
「は、はい……って、えっと……マリーダ……さん?」
「どうした?」
「あの……」
一夏はようやく本題を問う。
「その、どうしてジオンのあなたが俺を?」
「……それは、テム・嶺博士とジオン・連邦政府からの依頼だ」
「そ、そうだったのか……?」
「それよりも、一夏?」
「は、はい……?」
「今から学園へ戻り、お前の寮へ私を案内してくれないか?」
「え、いい……ですけど?」
「うむ……」
そういうなり、マリーダというこの袖付きこと特務の女性軍人は一夏の後を歩いて、ふたたびIS学園へ戻った。
途中、正門の前で見知らぬ女を見て警備員の女が警戒したが、マリーダは懐から取り出した入校許可書を見せて、あっけなくこの場をパスした。
「一夏、もう帰って来たのか?」
「あれ? 一夏君、そちらの方は?」
途中、廊下でアムロと明沙と行き会った。
「ああ、こちらはマリーダさん。危ないところを助けてくれたんだ」
「ジオン軍の人……あ、袖付き!?」
と、アムロ。再びマリーダが不機嫌になる。
「アムロ、袖付きじゃなくて特務部隊って呼でくれって?」
「あ、すみません……!」
「気にするな。その仇名で呼ばれるのが当然なくらいだからな」
――カッコよくて綺麗だな……
アムロは、そんなマリーダをまぶしく見た。当然、後ろから明沙が白い目で見る。
二人と別れて、さらに寮に向けて廊下を歩いた……が。
「カミーユ! アンタって人は……!!」
「しょ、しょうがないだろ!?」
目の前の寮から勢いよく飛び出してきたのは、カミーユと最近になって少々遅れてきた彼女のファだった。聞くところによると、カミーユが声もかけずにうっかりシャワー室を除いてしまったらしい。まだ、ルームメイトが隼人だったときの名残があるようだ。
「あ、ファさん……」
「い、一夏君! ご、ごめんなさい……こんな格好で」
バスタオルを巻いた状態で部屋から出てきてしまったためにファはとっさに両肩を抱いた。
そのあと、ファはカミーユを引っ張って部屋に戻し、お仕置きの声がドア越しから
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