第十一話「狙われた一夏」
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「うぅ……!」
鳩尾を抱えて膝をつく一夏に、少女は容赦なく鉄拳を加え続けた。蹴られ、殴られを繰り返されて一夏は瞬く間に傷だらけになってしまった。
――つ、強い……!?
「その程度か……」
そして、少女の踵が一夏の肩へ振り下ろされるが。
「……!」
直観と察知で、相手の動きを見抜いた一夏は少女の攻撃をかわしてすぐさま距離を取った。
――なんだ……一瞬、動きが見えた?
「ほう……? そこそこ、だな」
「くぅ……」
しかし、一夏は距離を取ったとはいえ相手に背を向けて逃げ出す力は残されていなかった、全身打撲と傷だらけの彼にそんな体力はない。
「返答しろ? 今すぐIS学園から……教官の元から去れ!」
「何なんだよ……アンタ!?」
「言ったはずだ。キサマごときに名乗る名はないと……!」
そう言って、少女は一夏のもとへ歩み寄るが、そんな少女の背後から突然の殺気と声が飛び込んだ。
「下らん私情で一般市民に蛮行をふるうとは、強化人間の風上にも置けぬな?」
「……?」
もう一人の、若い女性の声が少女を制止させた途端。少女の後頭部を前者らしきものの回し蹴りが襲い、少女は痛手を受けた。
「ぐぅ……何者だ!」
少女が振り返ると、そこには彼女よりも背の高い大人びた若い女性、それも紫色の軍服を着た軍人らしき女が構えている。
「キサマごときに名乗る名はない……」
「ッ……!!」
しっぺ返しに言い返され、激怒する少女は冷静な態度とは裏肌に次々と手足を用いた格闘を繰り出して女性に襲い掛かるが……
「甘い……」
一発で見切った女性は、少女の手首をつかむと、そのまま一瞬で彼女を地面に押さえつけた。一夏は、そんな女性の型を目につぶやいた。
「あ、合気道……!?」
「この少年に手を出すというのなら、こちらも本気をもって実力行使を行う……それを避けたいなら、貴様の方こそ立ち去れ」
「ぐぅ……!」
苦虫をかみしめた少女は、そのまましぶしぶと走り合った。一夏にこう言い残して。
「私は……私は認めない! お前のような奴を……!!」
――何なんだ? アイツは……
「奴に品性を求めるには絶望的だな……」
立ち去った少女の後を睨むと、女性は一夏の方へと歩み寄り、尻餅をついた彼にソッと手を差し伸べた。
「立てるか……?」
無表情な顔をは対照的に、声は優しく一夏へかけられた。
「あ、ありがとうございます!」
立ち上がり、服を叩いて、一夏はもう一度彼女に礼を言った。
「本当に助かりました!」
「気にするな。これが私の任務だ……」
「え?」
一夏は、首を傾げた。
「申し遅れた。私は、ジオン公国軍特務部隊所属のマリーダ・クルスだ……」
「と、特務部隊!?」
そんな一夏は、ふと彼女の「袖」にある部隊マークを見た。そしてこう叫ぶ。
「も
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