第十一話「狙われた一夏」
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ぇアブねぇ! 危うく、地獄の特訓をさせられるとこだった」
箒の鍛錬に付き合わされると、ぜったいスパルタになってしまう。これだけは唯一この学園生活の中で避けたい習慣の一つである。
「さーて、箒も行ったことだし? 今日だけは有意義な一日にするぞ!」
背伸びをして、一夏は私服に着替えると、そのまま箒に見つからないようこっそりと学園を出た。
彼が向かった市街地は、反IS思想の強い男女平等区域の街である。そこには、女尊男卑の光景もなく、第三者としても気軽に行きかうことができる。
とにかく、今日は久しぶりに訪れたのだから適当にブラブラしまわって気の赴くままに楽しもうとした。
この街は、今も男女平等の光景は正常である。列に並んでも女性が男性の前に割り込んでくることもなく、パシリにされて走り回る男性もいない。ここは、世界では珍しい唯一の憩いの場である。
しかし……
「……?」
一瞬、背後から謎の不愉快を感じた。強烈な負の念が一夏の中を過ぎった。
――感じる……
ふと、気づかれぬよう一夏は背後へ振り向く。そこには、黒いフードを纏う小柄な一人の少女が人ごみからこちらを見つめている。偶然目があったのか、不愉快が一気に高まった。
――間違いない……
一夏は、そのまま気づかれぬよう自然と歩く素振りを見せて背後から迫る少女から逃れようとした。場合によっては殺気すらも感じるのだ。さらに、その少女からは自分が嫌う姉と同じ風格と執着した何かも感じとれた。
――姉貴と、関係があるのか……?
背後から迫る強烈な終着のオーラに、一夏は額にわずかな汗を浮かべた。そして、平常を保っていた彼だが、ついには早歩きから、小走りへ、そして人ごみをかき分けて走り出してしまった。このまま、歩き続けていたらヤバい。そう思ったのである。
彼は、そのまま走り続けて、とある裏路地へと逃げ込んだ。ここまで来れば見つけられないと思ったのだが……
「貴様が、織斑一夏か?」
「ッ……!?」
その声と共に殺気が現れた。振り返れば、あの少女が仁王立ちしている。
「だ、誰だ……?」
「キサマごときに名乗る名はない。ただ言えることは……」
すると、少女は太もものケースから一本のコンバットナイフを取り出し、その刃を彼に向けだした。
「……今すぐ、IS学園を去れ! さすれば、命は取らぬ」
「な、何だって?」
「これは、警告だ。これ以上……教官に近づくな!」
――教官?
その言葉に、一夏は目を細める。もしや、彼女から発せられるこの感覚と言い、さてはあの鬼姉貴と何らかの関係があるのか? しかし……
「ふざけるな! こっちは、学校の都合で来てんだ。そんな横暴がまかり通るとでも思ってんのかよ?」
「なら、仕方がない……」
次の瞬間、少女は一瞬で彼の間合いまで詰めると、一夏の鳩尾へ拳を突いた
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